橋口収

橋口收の生涯

橋口收（はしぐち おさむ）は、1921年（大正10年）9月8日に生まれ、2005年（平成17年）7月13日に逝去した、日本の大蔵官僚です。そのキャリアは多岐にわたり、初代国土事務次官、公正取引委員会委員長、広島銀行頭取・会長、広島商工会議所会頭など、数々の要職を歴任しました。

生い立ちと学歴

橋口は学習院で学び、初等科から高等科までを首席で卒業。東京帝国大学法学部を卒業後、大蔵省に入省しました。大学時代には、川島武宜教授から大学に残ることを勧められるほどの逸材でしたが、「象牙の塔にこもるのは性に合わない」として、官僚の道を選びました。

大蔵官僚としてのキャリア

大蔵省入省後、橋口は理財局に配属されましたが、短期現役制度により海軍へ。終戦後に大蔵省に復職し、銀行局を中心にキャリアを重ねました。特別金融課長、中小金融課長、銀行課長などを歴任し、各金融機関との調整に手腕を発揮しました。その後、大臣官房文書課長、東京税関長を経て、内閣官房内閣審議室長に就任。

1969年には主計局次長（次席）に転じ、1971年には理財局長、1973年には主計局長兼会計事務職員研修所長に就任しました。しかし、田中角栄内閣の放漫財政に反対したことが影響し、事務次官への昇格は見送られ、新設された国土事務次官に就任しました。この人事は、橋口にとって不本意なものであったとされています。

退官後の活動

退官後は、公正取引委員会委員長、広島銀行頭取、同会長を歴任しました。特に広島銀行会長時代には、マツダとフォードの提携事業をまとめるなど、その手腕を発揮しました。また、広島商工会議所会頭としても、地域経済の発展に貢献しました。

人物像

橋口は、大蔵省内では金融部門でキャリアを築いた金融官僚として知られています。また、伝記文学や美術にも造詣が深く、著作も多数残しています。娘婿には、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会事務総長などを務めた武藤敏郎がいます。

橋口收の主な役職

初代国土事務次官
公正取引委員会委員長
広島銀行頭取
広島銀行会長
広島商工会議所会頭

著作

『饒舌と寡黙 愚痴の随想』
『新財政事情 大蔵官僚がみた国家財政の実像』
『美のフィールドワーク』
『若き官僚たちへの手紙』
『二十一世紀へのメッセージ 若きビジネスリーダーへ』
『「近代」の座標軸を求めて 文明・文化そぞろある記』
『[小説]銀行頭取』


橋口收は、その卓越した能力と幅広い知識、そして揺るぎない信念によって、日本の経済界に多大な貢献をした人物でした。彼の生涯は、現代社会においても多くの示唆を与えてくれます。

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