橋本圭三郎

橋本圭三郎の生涯

橋本圭三郎は、1865年（慶応元年）に新潟県長岡市で生まれました。長岡藩士の家に育ち、長岡学校を卒業後、育英団体の支援を受けて上京し、大学予備門を経て東京帝国大学を卒業しました。当初は官僚としてキャリアをスタートさせ、法制局や枢密院での勤務を経て、大蔵省に移り、欧米への出張も経験しました。その後、横浜税関長、主計局長、大蔵次官などを歴任し、官僚としての確固たる地位を築きました。

1912年（明治42年）には貴族院議員に勅選され、政界にも進出しました。さらに、1913年には農商務次官に就任するなど、多岐にわたる分野で活躍しました。その後、実業界に転身し、1916年（大正5年）に宝田石油の社長に就任しました。当時、日本の石油業界は国際競争にさらされており、橋本は業界の競争力強化のため、ライバルであった日本石油との合併を推し進めました。

1921年（大正10年）、日本石油と宝田石油の大合併が実現し、橋本は副社長として新体制を支えました。その後、1926年（大正15年）から1944年（昭和19年）まで日本石油の社長を務め、業界の発展に尽力しました。また、北樺太石油や北樺太鉱業の取締役も務め、石油資源の開発にも貢献しました。

さらに、橋本は1931年（昭和6年）に帝国飛行協会の副会長となり、米国人飛行家リンドバーグ夫妻の日本滞在を取り仕切るなど、航空分野にも関わりました。1934年（昭和9年）には満州石油の理事長、1939年（昭和14年）には東亜燃料工業の初代会長に就任し、満州や東アジア地域での石油事業にも携わりました。1941年（昭和16年）には帝国石油株式会社の総裁となり、日本の石油政策の中枢を担いました。

戦後、1945年（昭和20年）から1948年（昭和23年）まで、社団法人燃料協会の会長を務めましたが、1946年（昭和21年）には貴族院議員を辞職し、公職追放の対象となりました（1951年解除）。1959年（昭和34年）に93歳で死去し、その功績を称えられ、勲一等瑞宝章が授与されました。墓所は青山霊園にあります。

橋本圭三郎の業績

橋本圭三郎は、官僚としてだけでなく、実業家としても卓越した手腕を発揮し、日本の石油業界の発展に大きく貢献しました。特に、日本石油と宝田石油の合併を主導し、業界の再編と国際競争力の強化に尽力したことは、特筆すべき功績と言えるでしょう。また、満州や東アジア地域での石油事業にも携わり、日本のエネルギー政策を支えました。その幅広い活動は、日本の近代化に大きく貢献したと言えるでしょう。

著述

橋本圭三郎は、自身の経験や見識を著述として残しており、その一部は現在でも閲覧可能です。代表的な著書としては、以下のものがあります。

『液体燃料問題解決の第二歩として液体燃料局創設の必要を力説す』（1935年）
『我が回顧録』（1958年）

栄典

橋本圭三郎は、その功績により、以下の位階・勲章を受章しています。

位階

1899年（明治32年）12月20日 - 正六位
1913年（大正2年）1月30日 - 正四位

勲章等

1911年（明治44年）8月24日 - 金杯一組
1940年（昭和15年）11月10日 - 紀元二千六百年祝典記念章

外国勲章佩用允許

1914年（大正3年）4月7日 - イタリア王国：王冠第一等勲章

親族

橋本圭三郎の親族として、以下の人物が知られています。

長女：ミチ（裏松友光夫人）
二女：正子（山口哲次郎夫人）
四女：梅子（樺山丑二夫人）

関連項目

橋本圭三郎に関連する企業や人物として、以下のようなものが挙げられます。

三菱石油
アソシエイテッド石油
高橋是清
土方久徴
特別攻撃隊#日本海軍
アルコア
* 大日本飛行学会

まとめ

橋本圭三郎は、激動の時代を生き抜き、日本の近代化に大きく貢献した人物です。官僚、政治家、実業家として多岐にわたる分野で活躍し、特に石油業界の発展に尽力しました。彼の生涯は、日本の歴史を語る上で欠かすことのできない重要な一部分と言えるでしょう。

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