橘村 (神奈川県)

橘村（たちばなむら）

橘村は、1889年（明治22年）4月1日から1937年（昭和12年）6月1日まで、神奈川県橘樹郡に存在した村です。現在の川崎市高津区南部に位置しています。

概要

橘村は、橘樹郡北部に位置する村でした。現在の川崎市高津区の南部にあたり、豊かな自然と歴史を持つ地域でした。

歴史

村名の由来

村の名前は、大字子母口に鎮座する橘樹神社に由来します。この神社は、かつてこの地が橘樹郡橘樹郷と呼ばれていたことにちなんでおり、歴史的なつながりを示しています。

沿革

橘村の歴史は古く、奈良時代や平安時代には「橘樹郷」という地名が文献に登場します。南北朝時代には「橘」「渋口郷」という地名が見られ、戦国時代には「新作」「末長」といった地名が現れます。

江戸時代に入ると、以下の8つの村が成立しました。

清沢村（旗本松波氏・鈴木氏の相給）
岩川村（旗本鈴木氏知行）
新作村（江戸増上寺領、旗本門奈氏・国領氏知行）
子母口村（旗本高林氏知行、江戸誓願寺領）
末長村（旗本浅井氏・国領氏・松波氏の3給）
久末村（旗本佐橋氏知行）
明津村（旗本駒井氏知行、幕府領、江戸増上寺領）
蟹ヶ谷村（旗本小幡氏知行、幕府領）

これらの村々は、それぞれ異なる領主によって治められていました。

1868年（明治元年）には、神奈川府の管轄となり、その後、神奈川県に改称されました。1874年（明治7年）には大区小区制が施行され、近隣の村々と共に再編されました。

1875年（明治8年）には、清沢村と岩川村が合併し、千歳村が成立しました。1878年（明治11年）には、千歳村は千年村と改称しました。

1889年（明治22年）4月1日、町村制の施行に伴い、千年村、新作村、子母口村、末長村、久末村、明津村、蟹ヶ谷村が合併して橘村が誕生しました。

橘村は、1937年（昭和12年）6月1日に川崎市に編入され、その歴史に幕を閉じました。1972年（昭和47年）4月1日には、川崎市が政令指定都市となり、旧橘村の地域は高津区となりました。

経済

産業

橘村の主な産業は農業でした。当時の篤農家として、伊藤壽三郎、伊藤恭之助、中村瀬左衛門、井上久左衛門、内田寛蔵、渋谷義三などが知られています。

畜産

橘屠場という畜産組合が運営する施設があり、牛、馬、犢、羊、豚などの家畜が取り扱われていました。屠場主は白井佐吉でした。

交通

鉄道路線

南武鉄道（現在のJR東日本南武線）が村域内を通過していましたが、村内に駅は存在しませんでした。

道路

主要な道路としては、中原街道が村内を通っていました。

現在の町名

合併前の旧村名（千年、新作、子母口、末長、久末、明津、蟹ヶ谷）は、現在も町名として残っています。合併後には、千年新町、子母口富士見台という新しい町名も誕生しました。

脚注

参考文献

大日本篤農家名鑑編纂所編『大日本篤農家名鑑』大日本篤農家名鑑編纂所、1910年。
『神奈川の畜産 昭和九年三月』神奈川縣内務部、1934年。

関連文献

「新作村」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ64橘樹郡ノ7、内務省地理局、1884年6月。

関連項目

神奈川県の廃止市町村一覧

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