檀林寺

檀林寺（だんりんじ）

歴史

檀林寺は、平安時代初期の承和年間（834年～848年）に、嵯峨天皇の皇后である橘嘉智子（檀林皇后）によって、現在の京都市右京区嵯峨野の地に創建されました。開山は、唐から招かれた僧侶・義空です。この寺は、京都で最初に禅を講じた寺として知られていますが、当時の日本では禅宗が広まることはなく、失望した義空はすぐに帰国したと伝えられています。

『文徳実録』によれば、檀林寺は最盛期には壮大な寺院となり、塔頭十二坊を数えたとされています。しかし、檀林皇后の没後、急速に衰退し、平安時代中期の一条天皇の頃には廃絶したと考えられています。

女流歌人である赤染衛門は、土中から檀林寺の鐘の音が聞こえてくるという話を聞き、寺の荒廃を嘆き、歌を詠んだとされています。この歌は、当時の檀林寺の様子を物語る貴重な資料となっています。

跡地

檀林寺の跡地には、かつて浄金剛院や西禅寺などが存在していたとされています。14世紀には、夢窓疎石によって天龍寺が建立され、現在に至っています。また、嵐山の竹林に鎮座する野宮神社の南側道路脇には、檀林寺の跡地を示す石柱が建てられています。

法寳閣檀林寺（ほうぼうかくだんりんじ）

京都市右京区には、同名の「法寳閣檀林寺」という真言宗系の単立寺院があります。山号は松森山、本尊は准胝仏母です。この寺院は、昭和39年（1964年）に壇林皇后の遺徳を偲んで再興されたとされています。門前には、「禅傳来本朝最初發祥之遺蹟 法寳閣 檀林寺」と刻まれた大きな石標が立っています。霊宝館には、「皇后ゆかりの品」をはじめ、日本や中国の仏教美術品が数多く収蔵されています。

この法寳閣檀林寺は、平安時代の檀林寺とは直接の関係はありません。

脚注

参考文献
佐和隆研ほか--編　『京都大辞典』　淡交社、1984年。
京都市『京都の歴史 1』京都史誌編さん所、1970年。

関連項目
檀林

外部リンク
檀林寺旧跡 - フィールド・ミュージアム京都（京都歴史資料館）
京都観光Navi：檀林寺

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