櫛田陽一

櫛田陽一：アマチュア時代からプロ棋士そして引退まで

櫛田陽一（くしだ よういち）は、1964年12月9日生まれの将棋棋士です。田丸昇九段を師事し、棋士番号は181番。東京都出身です。

アマチュア時代からプロ入りまで

中学時代に漫画『5五の龍』をきっかけに将棋を始め、わずか3年で東京都名人優勝、アマ王将戦準優勝、支部名人戦優勝という輝かしい成績を収めました。経済的な理由から高校進学は叶いませんでしたが、働きながら将棋を続け、アマチュア界の強豪として名を馳せました。この頃には真剣師の小池重明氏と親交があったとも言われています。

1982年、支部対抗戦で優勝したことを機にプロ入りを勧められ、1983年、1級で奨励会に入会。入会試験では、当時奨励会1級だった羽生善治氏を破るという快挙を成し遂げました。

プロ入り後は、1987年の第6回全日本プロトーナメントで、大山康晴十五世名人や高橋道雄二冠らを破り、決勝三番勝負に進出。決勝では谷川浩司王位に敗れましたが、その実力を広く知らしめました。翌年には王位リーグ入りを果たすなど、活躍が目覚ましく、1989年の第39回NHK杯戦では、中原誠棋聖らを破り、決勝で島朗前竜王を下して優勝。四段で初出場初優勝という快挙を達成しました。1回戦の高橋道雄戦では遅刻するというハプニングがありましたが、対局は認められ、勝利を収めました。師匠である田丸昇九段が解説を務めたことも記憶に残るエピソードです。

フリークラス転出と引退

1995年、30歳の若さで順位戦C級2組からフリークラスへ転出。成績は優秀で、もし降級していたとしても順位戦復帰できるほどの勝率、勝ち星を収めていました。しかし、宣言による転出だったため、復帰規定は適用されませんでした。

2010年度の第23期竜王戦6組ではベスト4に進出、昇級のチャンスを掴みましたが、準決勝、3位決定戦、5位決定戦と敗れ、昇級はなりませんでした。その後、2011年度末までに残りの公式戦を消化した時点で引退することが内定。王将戦、竜王戦6組昇級者決定戦に出場しましたが、惜しくも敗れ、2012年6月29日付で引退しました。

人物とその他

「クッシー」の愛称で親しまれ、四間飛車を得意戦法として、その定跡の発展に貢献しました。趣味はバックギャモンで、1994年には日本バックギャモン協会の王位戦で優勝しています。

フリークラス転出の背景には、ストレスによる過度の飲酒や、佐藤康光氏、森内俊之氏らの活躍に刺激を受けたことなどがあったと語られています。

昇段履歴

1983年12月：1級（奨励会入会）
1984年：初段
1987年3月5日：四段（プロ入り）
1992年7月21日：五段（勝数規定）
2001年4月1日：六段（フリークラス規定）
2012年6月29日：引退
2016年4月1日：七段（引退棋士規定）

主な成績

一般棋戦優勝：NHK杯1回（1989年度）
記録：NHK杯戦最低段優勝（四段、1989年度）

著書

世紀末四間飛車シリーズ（全3巻）

櫛田陽一氏は、アマチュア時代からの努力と実力でプロ棋士として活躍し、多くのファンに愛された棋士でした。その棋風、人となり、そして将棋界への貢献は、長く記憶されることでしょう。

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