櫛笥隆致

櫛笥隆致（くしげ たかちか）は、戦国時代に活躍した公卿です。正親町三条公兄を祖父に持ち、父は松陰居士とされています。官位は従四位上左中将にまで昇りました。特に、娘の隆子（逢春門院）が後西天皇の生母となったことで、歴史に名を残しています。没後、左大臣を追贈されました。

生涯

隆致の生涯は、四条家をめぐる複雑な事情と深く関わっています。当初、当主であった隆昌が勅勘を蒙り出奔したため、隆致は兄である隆憲の養子となり、さらにその養子として四条家を継承しました。しかし、慶長6年（1601年）に隆昌が徳川家康の奏請により赦免され、四条家に戻ったため、隆致は四条家を離れることになります。

この出来事を受け、隆致の子である隆朝は新たに櫛笥家を創設しました。そのため、隆致を四条家の当主として記述する史料も存在します。隆致は慶長18年（1613年）7月6日に58歳で亡くなりましたが、寛文7年（1667年）には左大臣が追贈され、その功績が称えられました。

系譜

櫛笥隆致の系譜は以下の通りです。

祖父：正親町三条公兄
父：松陰居士
母：三条西実枝女

隆致には多くの子女がおり、それぞれが重要な役割を果たしました。

男子：櫛笥隆朝（1607-1648）
櫛笥家の祖となり、隆朝の子である隆方と隆胤が相次いで櫛笥家の当主となりました。
男子：園池宗朝（1611-1661）
園池家の祖となり、その子である宗純（のち実卿）が園池家を継承。また、隆賀（初め実廉、隆慶）は従兄である隆胤の養子となりました。この隆賀の娘が櫛笥賀子です。
長女：櫛笥隆子（逢春門院）（1604-1685）
後水尾天皇の後宮に入り、後西天皇を生みました。
次女：貝姫（1624-1642）
伊達忠宗の側室となり、伊達綱宗の生母となりました。
女子
山内忠義の継室となりました。

参考文献

橋本政宣 編『公家事典』、吉川弘文館、2010年
近藤敏喬 編『宮廷公家系図集覧』、東京堂出版、1994年
久保貴子『後水尾天皇』、ミネルヴァ書房、2008年

櫛笥隆致は、その生涯において四条家と櫛笥家の間で複雑な立場にありましたが、多くの子女たちが歴史に名を残し、その血筋は後世にまで影響を与えました。

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