三条西実枝

三条西実枝（さんじょうにし さねき）

三条西実枝は、戦国時代から安土桃山時代にかけての公卿であり、歌人、古典学者としても知られています。右大臣・三条西公条の子として生まれ、その才能と家柄から、正二位・内大臣という高い官位にまで昇りつめました。

生涯

実枝は、歌人、古典学者としてだけでなく、公家社会においても重要な役割を果たしました。1544年には、長男と妻を相次いで失うという悲劇に見舞われましたが、その後も精力的に活動を続けました。1547年には甲斐国へ下向し、武田信繁や大井信常らと歌会を行っています。1552年以降は京都を離れ、駿河国へ移り住みました。

駿河国滞在時には、武田信玄による駿河侵攻が発生。その最中の1569年に、駿河国一宮である富士山本宮浅間大社に和歌を奉納し、武田氏の戦勝を祈願する祝詞を上げています。同年には帰洛し、古典の講釈に力を注ぎ、三条西家に伝わる『源氏物語』の学を集大成した『山下水』を著しました。

また、正親町天皇に対して、その視野の狭さから軽率な判断を下していると度々諫言を行っています。金子拓氏の研究によれば、実枝は東大寺の勅封開封に興福寺が関与したことに対し不満を抱いていたとされています。

1577年には、織田信長の推挙により大納言に任じられました。当時、正官の大納言は空席であることが多かったため、異例の任命と言えます。三条西家に代々伝わる古今伝授は一子相伝の秘事でしたが、息子の公国が幼かったため、弟子の細川藤孝に初学一葉を与え、厳格な条件のもとで古今伝授を行いました。後に公国が早世したため、幽斎は実枝の孫である実条に古今伝授を伝えています。

家集として『三光院集』が残されています。

官歴

1512年（永正9）12月2日、従五位下に叙す。
1514年（永正11）12月2日、侍従に任ず。
1515年（永正12）2月6日、従五位上に昇叙。
1517年（永正14）1月26日、正五位下に昇叙。
1521年（大永元）2月20日、元服し諱を実世とする。禁色と昇殿を聴される。 12月17日、従四位下に昇叙。
1522年（大永2）12月27日、従四位上に昇叙。
1525年（大永5）3月13日、右近衛中将に任ず。
1526年（大永6）3月29日、正四位下に昇叙。
1530年（享禄3）1月20日、正四位上に昇叙、蔵人頭に補す。1月28日、参議に任ず。
1532年（享禄5）1月6日、従三位に昇叙。
1535年（天文4）12月4日、権中納言に任ず。
1536年（天文5）11月22日、正三位に昇叙。
1540年（天文9）1月25日、従二位に昇叙。
1541年（天文10）3月28日、権大納言に任ず。
1544年（天文13）6月2日、諱を実澄に改める。 8月25日、正二位に昇叙。
1577年（天正5）11月20日、大納言に任ず。
1579年（天正7）1月20日、内大臣に任ず。 1月22日、内大臣を辞退し、出家。法名豪空。24日死去。享年69。

系譜

父：三条西公条
母：甘露寺元長の娘
妻：吉田兼満の娘
長男：三条西公世
妻：正親町三条公兄の娘
次男：三条西公国（三条公広の父）
三男：三条実綱

子女
女子：あここの方（織田信長側室）
女子：稲葉良通正室
女子：高倉永孝室

登場作品

『麒麟がくる』（2020年・NHK大河ドラマ　演：石橋蓮司）※ドラマでは、実澄（さねずみ）表記。

参考文献

金子拓『織田信長権力論』吉川弘文館、2015年。ISBN 978-4-642-02925-4。

関連項目

* 万里小路惟房

もう一度検索