櫻井房記

櫻井房記

櫻井房記（さくらい ふさき、1852年9月28日 - 1928年12月12日）は、明治から昭和初期にかけての日本の教育者であり、東京物理学講習所（現在の東京理科大学）の初代所長、第五高等学校（熊本大学の前身）の第5代校長を務めました。

生涯

1852年（嘉永5年）に加賀藩（現在の石川県金沢市）で生まれました。幼少期から学問に励み、1869年（明治2年）に開成学校（後の東京大学）に入学。優秀な成績を修め、1878年（明治11年）に東京大学仏語物理学科を卒業しました。

卒業後は教育の道に進み、1881年（明治14年）に東京物理学講習所の初代所長に就任。物理学の普及に尽力しました。1882年（明治15年）からはイギリス・フランスへ留学し、最新の物理学を学びました。

帰国後、高等師範学校（後の東京高等師範学校、現在の筑波大学）の教授となり、教員養成に携わりました。また、中等教員検定試験の委員を務め、教育行政にも貢献しました。

1890年（明治23年）に第五高等中学校（後の第五高等学校）の教授に転じ、1900年（明治33年）には校長に就任。校長として、学生の自主性を重んじ、自由な学風を築きました。また、新任教師であった夏目漱石にイギリス留学を薦めたことでも知られています。

1907年（明治40年）に第五高等学校校長を辞任。その後は、大韓帝国皇太子の教育係を務めるなど、国際的な活動も行いました。1917年（大正6年）には東京物理学校の主事に復帰し、後進の育成に尽力しました。

1928年（昭和3年）に76歳で逝去。日本の近代教育の発展に大きく貢献した教育者として、その名は永く記憶されています。

業績

東京物理学講習所（現在の東京理科大学）の初代所長として、物理学の普及に貢献
第五高等学校（熊本大学の前身）の校長として、自由な学風を築き、多くの人材を育成
夏目漱石にイギリス留学を薦めるなど、文化人の育成にも貢献

家族

弟に造船学者の櫻井省三、化学者の櫻井錠二がいます。櫻井錠二の五男櫻井季雄も化学者です。

長男は三菱重工業社長の櫻井俊記。娘婿に建築家の藤村朗、実業家の岩崎輝弥がいます。

栄典

1895年（明治28年）12月29日 - 勲六等瑞宝章

著作

「算術教授上ノ心得」（『大日本教育会雑誌』第8号、1884年7月）
「暦に就て」（『竜南会雑誌』第33号、1895年1月）
「太陽」（『竜南会雑誌』第37号、1895年6月）
「入学式に於ける桜井校長の訓告」（『竜南会雑誌』第81号、1900年9月）
「入学式に於ける桜井校長の訓告大意」（『竜会雑誌』第87号、1901年10月）

訳書

『小物理学書』 ジヤメン原著、東京物理学校、1885年5月巻一
* 『中等教育 代数学』 アグレジェー・ボッス原著、千本福隆合訳、丸善商社書店・敬業社、1889年12月上巻 ／ 1891年11月下巻


櫻井房記は、日本の近代教育の黎明期に、物理学の普及と人材育成に尽力した教育者として、その功績は高く評価されています。

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