アリアンスペース

アリアンスペースの概要

アリアンスペースは、ヨーロッパ各国の宇宙開発を担う企業が共同で設立した、ロケット打ち上げサービスを専門とする企業です。1980年3月26日に設立され、ヨーロッパ12カ国、53社が出資しています。出資比率はフランスが最も高く、本社もフランスのクールクーロンヌに置かれています。

アリアンスペースの特徴は、ロケットの製造を自社で行わず、アリアングループが製造したアリアンロケットシリーズの打ち上げに特化している点です。この点が、ロケットの製造から打ち上げまでを一貫して行う三菱重工業などの企業とは大きく異なります。

アリアンロケットの成功と競争激化

アリアンスペースは、特にアリアン4ロケットの商業的な成功により、世界の人工衛星打ち上げ市場で約半分のシェアを獲得しました。しかし、その後、ロシア、中国、日本などの宇宙開発機関や、アメリカの民間企業が参入し、競争が激化しました。

この状況に対応するため、アリアンスペースは大型のアリアン5ロケットの開発と運用を開始し、国際的な商用打ち上げの受注競争を勝ち抜いてきました。さらに、ロシア宇宙機関との合弁企業スターセム社を通じてソユーズロケットによる中型衛星の打ち上げも行っています。

多様な打ち上げサービス

アリアンスペースは、アリアンロケットに加えて、ソユーズロケットとヴェガロケットも運用しており、顧客の多様なニーズに応えています。ソユーズロケットは、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地や、ギアナ宇宙センターから打ち上げられており、中型衛星の打ち上げに利用されています。ヴェガロケットは、小型・低軌道衛星の打ち上げに対応しており、アリアンロケットを補完する役割を担っています。

国際協力

アリアンスペースは、国際的な宇宙開発企業との連携も積極的に行っています。2007年には、三菱重工業やアメリカのシーローンチと、ロケットのバックアップ使用に関する協定を締結しました。これにより、打ち上げの遅延が発生した場合でも、他の企業のロケットを利用して衛星を打ち上げることが可能になりました。また、近年では、Amazon.comとの間で、アリアン6ロケットによる低軌道衛星打ち上げ契約を締結するなど、新たな協力関係を構築しています。

アリアンスペースの組織

アリアンスペースの株主は、10カ国、24社に及びます。主要な株主は、フランス国立宇宙研究センター（CNES）と、欧州航空防衛宇宙会社（EADS）です。

アリアンスペースは、フランス本社を中心に、フランス領ギアナの打ち上げセンター、ワシントンD.C、シンガポール、東京に支店を持ち、世界中で打ち上げサービスを展開しています。

ローンチ・サービス・アライアンス

2003年、アリアンスペースはボーイング・ローンチ・サービシーズ、三菱重工とローンチ・サービス・アライアンスを締結しました。このアライアンスにより、アリアンロケット、シーローンチ、H-IIAロケットを相互に柔軟に活用し、顧客の衛星を最適な軌道へ投入することを目指しています。これは、航空業界のコードシェアリングに相当する取り組みです。

アリアンスペースの今後

アリアンスペースは、アリアン6ロケットの開発・運用に注力しており、今後も国際的な打ち上げ市場での競争力を維持・強化していくと見られます。また、新たな宇宙開発技術を取り入れ、顧客の多様なニーズに対応できるサービス提供を目指しています。

関連情報

欧州宇宙機関 (ESA)
フランス国立宇宙研究センター (CNES)
アメリカ航空宇宙局 (NASA)
宇宙開発
ヴェガロケット
ソユーズ

外部リンク

Arianespace (英語)
ESA (英語)
* CNES (フランス語)

もう一度検索