欧州連合戦闘群

欧州連合戦闘群（EUBG）とは

欧州連合戦闘群（European Union Battlegroup, EUBG または BG）は、欧州連合（EU）の共通安全保障防衛政策（CSDP）を支えるために編成された、即応能力の高い部隊です。EU加盟国が分担して要員を提供し、約1,500人規模の戦闘群を構成します。

特徴

即応性: 理事会の承認後、5日から10日以内に展開可能。
柔軟性: 人道支援、平和維持、危機管理など、多様な任務に対応。
ローテーション: 2つの戦闘群が常に待機し、半年ごとに交代。
自律性: 最小限の独立作戦単位として機能し、戦域作戦を支援。

背景

EUBGの構想は、1992年のヘルシンキ欧州理事会に端を発します。緊急展開部隊の必要性が認識され、2003年の英仏サミットで優先事項として具体化されました。同年、コンゴ民主共和国におけるアルテミス作戦でのEUの迅速な部隊展開が成功し、EUBG構想の雛形となりました。2004年には、フランス、ドイツ、イギリスが共同でEUBG構想を正式に提案し、同年11月に全加盟国の承認を得ました。

任務

EUBGは、EU理事会の承認後、5日から10日以内に展開し、少なくとも30日間、必要に応じて最大120日間活動を継続できます。任務は、ペータースベルク任務と欧州安全保障戦略に示されたものが対象となります。

人道支援および救難任務
平和維持活動
危機管理における戦闘部隊の任務
調停
合同軍縮
テロ対策のための第三国支援
治安部門改革

EUBGは、紛争予防、避難、人道支援、初期安定化などの任務を想定しており、既存部隊への短期支援、大規模部隊展開の準備、小規模な緊急展開任務に区分されます。

組織

EUBGは約1,500人の兵員で構成され、司令部と支援部門が付加されます。標準的な編成は、本部中隊、3個歩兵中隊、通信支援要員です。特定の部隊は、機械化歩兵や砲兵、医療支援などの支援部隊を含む混成部隊として編成され、独立して活動できます。主力部隊には、追加支援と前線指揮のための隊本部が付属し、ヨーロッパ本土には運用本部が設置されます。

分担

EU加盟国は、それぞれの国力に応じてEUBGへの貢献を分担します。大国は単独で戦闘群を編成し、小国は複数国で共同グループを構成します。各戦闘群には、運用指揮を担当する「指揮国」または「枠組み国」が指定されます。EU非加盟国であるトルコとノルウェーも、EUBGに参加しています。

特定分野能力

一部のEU加盟国は、特定の専門能力を提供することでEUBGを支援します。

キプロス: 医療グループ
リトアニア: 水浄化部隊
ギリシャ: 海上輸送調整センター
* フランス: 多国籍展開部隊本部施設

スウェーデンとフィンランドは共同で北欧戦闘群を創設し、ノルウェーにも参加を呼びかけました。フィンランドは対NBC（核・生物・化学兵器）防護訓練部隊を、アイルランドは爆発物処理の専門家を提供しています。

待機歴と演習

EUBGは2005年1月に初めて作戦能力を獲得し、以降、少なくとも1つの戦闘群が6ヶ月ごとの待機任務に就いています。2007年1月には完全作戦能力を獲得し、同時に2つの戦闘群が待機できるようになりました。EUBGは、自由投票の保護を想定した図上演習も実施しています。

EUBGは、EUの安全保障において重要な役割を果たしており、国際的な危機に対して迅速かつ効果的に対応するための重要な戦力となっています。

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