歌内駅

歌内駅：宗谷本線に沿う歴史と自然の駅

歌内駅は、北海道中川郡中川町に位置していた、JR北海道宗谷本線の駅です。1923年11月10日、天塩線の誉平駅（現・天塩中川駅）と問寒別駅間の開通に伴い、「宇戸内駅」として開業しました。その後、線路名称の変更を経て、1930年には宗谷本線に編入されます。1951年7月20日には「歌内駅」と改称されました。

駅の歴史を紐解くと、開業当初から数々の変化がありました。1931年には駅舎に対向ホームの待合室が設置され、1961年には駅舎の改築が行われました。貨物や電報の取り扱いもかつては行われていましたが、1977年と1984年にそれぞれ終了。1984年には無人化され、1985年には旧駅舎の基礎上にヨ3500形車掌車を改造した待合室を備えた貨車駅舎へと生まれ変わりました。国鉄分割民営化後もJR北海道の駅として運営されていましたが、利用客の減少により、2022年3月12日、廃止となりました。自治体管理に移行した駅としては初めての廃止という点も注目に値します。

歌内駅の駅名は、アイヌ語の「ウッナイ（ut-nay）」（肋骨・川）に由来する宇戸内川からきています。この川は天塩川の支流であり、本流に対して直角に近く流れ込む様子から、この名が付けられたとされています。その後、1941年の字名改正により「歌内」と改称され、駅名もそれに倣って変更されました。

駅構造は、地上駅で単式ホーム1面1線というシンプルなものでした。廃止前までは、相対式ホーム2面2線を持ち、交換設備が備わった駅でしたが、交換設備の運用廃止後は線路が撤去されました。中川町管理の無人駅となってからは、駅舎はホーム中央部に接する西側に位置していました。

利用状況は、廃止間際には数人の高齢者が利用している程度でした。JR北海道は、1日平均乗降人員が3名以下の駅について、自治体による維持管理もしくは費用負担による存続か廃止かの選択を沿線自治体に要請。中川町は当初は町負担で維持する方針を示しましたが、2021年7月中旬には廃止の方針をJR北海道に伝え、同年9月には広報誌で廃止を発表しました。

駅周辺環境としては、北海道道541号問寒別佐久停車場線や歌内橋が近くにあります。また、天塩川や標高632mのクンネシリ山といった自然豊かな場所にも囲まれています。バス路線も運行しており、中川町住民バスの中川－歌内・国府線が「農管施設」と「野崎宅」の停留所で運行され、歌内地区ではフリー乗降が利用可能でした。

歌内駅は、宗谷本線沿線地域の歴史を刻み、地域の生活に寄り添ってきた駅でした。その歴史と周辺の自然環境、そして地域住民との関わりを理解することで、この駅の存在意義を改めて考えることができます。廃止された現在でも、その歴史は人々の記憶に残り続けていることでしょう。

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