歓喜寺 (秋田市)

歓喜寺の歴史と現状

歓喜寺（かんきじ）は、秋田県秋田市に位置する曹洞宗の寺院です。その歴史は古く、もともとは密教寺院として創建されました。飯島村（現在の秋田市飯島地区）に最初の寺院が設立され、その後、日吉神社を守護神としています。日吉神社は1322年に南秋田郡笹岡村（現在の秋田市外旭川）に設立され、1395年には上新城五十丁に移転し、以降「日吉山延命寺」や「十禅寺」とも呼ばれました。この頃、別当を沙弥安奈（安東氏）が務めていたことから、寺院の発展に寄与したと考えられています。

その後、1521年頃に飯島地区に移され、ここで密教寺となったとも言われています。実際、飯島鼡田の旧跡からは、懸仏が二体出土しています。これにより、密教寺はその後の歓喜寺の元となった可能性が示唆されています。1541年には、安東氏の重臣である八柳氏が開基となり、外旭川の八柳に正式に創建されることになります。この際、補陀寺の八世である察心寿鑑を開山として迎え、寺院は曹洞宗に改宗されました。

江戸時代になると、1622年には佐竹氏が城下の寺町を整備し、以前の所在地であった秋田市寺町（現在の旭北寺町）に移転しました。これにより、歓喜寺は長い歴史を持つ寺院として、法嗣が晋住する師資相承が続いてきました。特に、三世生庵祖長、五世報庵良恩、六世空山祖広など、数々の著名な僧侶が開山を務めています。

歓喜寺の本堂は1886年に発生した俵屋火事で消失しましたが、翌年には再建されました。現在、寺院は多くの重要文化財を所蔵しています。特に、聖観世音菩薩像（定朝作の興福寺千体仏の一つ）が県指定の文化財に指定されており、この他にも西方広目天像や三面大黒天像、不動明王像なども存在します。また、境内には「生け花塚」と呼ばれる珍しいスポットも設けられています。

歓喜寺の旧所在地は、近くに光明寺や妙覚寺といった他の曹洞宗寺院が存在しており、これらの寺院は相互に交流を持ち、共同の事業を行っていました。しかし、歓喜寺は2007年に秋田市旭北寺町から秋田市下北手梨平へ移転し、現在の所在地として新たな歴史を刻んでいます。旧所在地の中央部分は都市計画に基づいて整備され、道路事業に利用されています。

旧所在地の近くには「歓喜寺前」という名の停留所がありましたが、移転後は「鹿嶋神社前」に改名され、現所在地の最寄り停留所は城東消防署経由桜ガ丘線の「桜ガ丘二丁目」です。

歓喜寺は地域の文化として、その歴史と伝統を今に伝え続けています。現御峰の本堂は2008年に建てられ、新たな息吹を感じさせます。

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