止め名

止め名（とめな）

「止め名」とは、日本の伝統文化において一度名乗ったら再び使われることがない特殊な名前を指します。ここでは、落語、大相撲、歌舞伎、映画における止め名の概念や例について解説します。

落語における止め名

落語界では、「止め名」とは、一門の中で最高位の名跡を指します。この名を持つ落語家は、隠居名に改名することはあっても、その後他の名を襲名することはありません。止め名を名乗る落語家は、その亭号を代表して一門を指導する役割も持っています。

江戸落語では、著名な止め名として桂文治や古今亭志ん生、三遊亭圓生などが挙げられます。一方、上方落語でも桂文枝や笑福亭松鶴などが同様の立場にあります。これらの名は、長い歴史の中で築かれた確固たる地位を示しており、その名を襲名すること自体が大きな誇りとされています。

大相撲における止め名

大相撲の場合、「止め名」は二度と使われることのない四股名を指します。一例として、横綱や大関が名乗った四股名で、現在年寄名跡として使用されているものには出羽ノ海や不知火があります。年寄名跡と重なる四股名の使用は禁じられているため、過去には年寄名跡を四股名にした力士が存在しましたが、現在はそのような慣習はなくなっています。

現役時代の実績により止め名とされているものには、千代の富士や白鵬の名があり、これらは特にその力士の偉大な実績を基にしています。また、部屋の消亡などにより実質的に止め名と化した四股名もあることから、相撲界において止め名の重要性が際立っています。

歌舞伎における止め名

歌舞伎界においても「止め名」は再び使われない名跡として存在します。例えば、三代目實川延若の名は、彼が亡くなった後以降、他の役者が襲名することがないとされているほか、坂田藤十郎もその偉大さ故に事実上の止め名とされています。また、初代市川團十郎を刺殺した生島半六など、歴史的背景から止め名となっている名跡もあります。

映画における止め名

映画の世界においては、「止め名」は映画作品のエンドクレジットにおいて、名前の表示順で最後にくる役名を指します。これにより、その役割を演じた俳優が重要な配役であることを示すことができます。この表現は日本だけでなく、アメリカ、フランス、イタリアなど世界中の映画でよく見られます。

まとめ

このように「止め名」は、さまざまな伝統文化における重要な概念であり、それぞれの分野で独自の価値を持っています。一度名乗ったら再び使われない名跡や四股名は、その人物や役者の業績や名誉を永遠に象徴するものとなります。この「止め名」が持つ意味を理解することで、日本の伝統文化に対する理解がより深まることでしょう。

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