正宗厳敬

正宗厳敬（まさむね げんけい）

正宗厳敬は、1899年（明治32年）4月22日に岡山県和気郡伊里村穂浪（現在の備前市穂浪）に生まれ、1993年（平成5年）6月18日に94歳で生涯を閉じました。彼は、日本の植物学者として、植物分類学、植物地理学に多大な貢献をしました。その業績は、学術界のみならず、後世の植物研究にも大きな影響を与えています。

生い立ちと学歴

正宗厳敬は、旧制第七高等学校を経て、1929年（昭和4年）に東京帝国大学理学部植物学科を卒業しました。大学卒業後、台北帝国大学理農学部助手として研究者の道を歩み始めました。1934年（昭和9年）には、同大学の助教授兼農林専門部教授に就任し、教鞭を執りました。太平洋戦争終結後、一時的に横浜国立大学で勤務した後、1950年（昭和25年）に金沢大学へ赴任しました。金沢大学では、理学部（現在の理工学域）植物分類・地理学講座の初代教授として、教育と研究に尽力しました。

研究活動

正宗厳敬は、ボルネオと台湾の植物誌編纂に力を注ぎ、ラン科植物の分類に関する研究を精力的に行いました。また、植物地理学的な視点からの研究も展開し、植物の分布と進化に関する理解を深めました。その研究成果は、多くの学術論文や著書として発表され、植物学の発展に大きく寄与しました。

退職後と遺産

1964年（昭和39年）に金沢大学を定年退職しましたが、その後も研究活動を続けました。彼の死後、発見されたラン科植物のタイプ標本を含む標本は、神奈川県立生命の星・地球博物館に収蔵され、研究資料として活用されています。これらの標本は、正宗厳敬の研究成果を今に伝える貴重な資料となっています。

親族

正宗厳敬の親族には、作家の正宗白鳥（本名：忠夫）、国文学者の正宗敦夫、画家の正宗得三郎がいます。兄弟それぞれが異なる分野で才能を発揮し、日本の文化・芸術に貢献しました。

主な著書

正宗厳敬は、数多くの著書を執筆しました。以下に主なものを挙げます。

1936年 『最新臺灣植物總目録』 KUDOA編集部, 台北
1936年 『植物地理學』 養賢堂, 東京
1937年 「西表島植物の成立について」『植物及動物』5: 63-64
1939年 『植物地理學, 訂正版』 養賢堂, 東京
1939年 チャールズ・ダーウィン（著）・正宗厳敬（訳）『蘭の受精』 白揚社, 東京
1942年 『ボルネオの植物』 台湾総督府外事部, 台北
1943(1944)年 『海南島植物誌』 台湾総督府外事部, 台北
1956年 『植物地理学新考』 北隆館, 東京
1962年 『森林植物生態学』 朝倉書店, 東京
1963年 正宗厳敬・里見信生『小豆島の植物』 北陸の植物の会

これらの著書は、植物学の研究者や学生にとって貴重な参考文献となっています。

関連項目

正宗白鳥
工藤祐舜

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