正木時通

正木 時通（まさき ときみち）

正木時通は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。通称は十郎で、正木時忠の長男として誕生しました。彼の生涯は、時代背景と多くの権力闘争が織りなす複雑なものだったといえます。

生涯の始まりと里見氏との関係

時通は、父の正木時忠が里見義弘に仕えていた時期に育ちましたが、伯父の時茂の死を契機に、家計が困窮し始めます。これを受けて、父の時忠は里見氏からの独立を目指し、永禄7年（1564年）に里見氏と距離を置くことを決断します。この際、弟の頼忠を北条氏康に人質として差し出し、里見氏に従う従兄弟の憲時に対抗するために軍を動かし、上総国の支配を拡大しようとしました。

北条氏への従属と戦いの激化

永禄9年（1566年）、北条氏の出陣要請を受けて、時通は北条氏政の軍に派遣されます。そして翌年には、北条氏に対して武器の提供や援軍の要請を行いました。こうして、時通は北条氏に属する勝浦正木氏の当主として里見氏との戦闘に参加しますが、時通自身の目的はあくまで自己の勢力を拡大することでありました。このため、彼は北条氏の同盟である千葉胤富を攻撃し、その領地を奪取するものの、次第に周囲から孤立してしまいます。

里見氏への復帰

時通は天正年間初頭には再び里見氏に復帰したとされています。天正2年（1574年）には北条領国である上総国の大坪に侵攻し、相変わらずの戦いを繰り広げました。彼の活動は、当時の戦国の情勢を反映したものとも言え、数々の戦闘に参加し、その名を広めていきました。

最期と後世への影響

1735年11月8日の深夜、三原城で病に倒れた時通は、その時期の武将としての役割を全うする形で命を閉じました。彼の死去に関する記録は、安房妙本寺と鎌倉妙本寺に残されており、深夜に亡くなったため日付に誤差があります。彼が復興を手掛けた千葉県南房総市の日運寺に現在も彼の墓が存在しています。彼の法号は日運であり、戦国時代の困難な時期にあって、家族や土地を守るために奮闘した彼の波乱に富んだ人生は、現代においても多くの人々に語り継がれています。

参考文献

• - 戦国人名辞典編集委員会編 『戦国人名辞典』 吉川弘文館、2005年
• - 『寛政重修諸家譜』第3輯、国民図書、1923年

もう一度検索