正木流

正木流の概要

正木流（まさきりゅう）は、武術の流派として正木利充が創始したもので、特に「萬力鎖術」という武術技法が有名です。邑が江戸城の警備任務を受けていたことから生まれたこの流派は、独特の技法と理論に基づいて展開されました。

開祖の正木利充

正木利充は美濃国大垣藩に士として仕官していました。彼は古藤田一刀流の剣術および先意流の薙刀術の名手とされ、後に自身の流派として正木一刀流を開きました。萬力鎖術は、利充が1750年代、宝暦年間に創始したもので、短冊状の分銅が両端についている「萬力鎖」を使用した武術です。この鎖は全長約2尺3寸（約69cm）で、技法には打つ、絡める、投げるといった動作が含まれます。

萬力鎖術の背景と技法

萬力鎖術の発祥には二つの説があります。一つは、大垣藩が江戸城の大手門の警備を命じられた際、利充が不意に乱心者が現れた場合に、門前を血で汚すことなく制圧できる術を考えたというものです。確かに、純粋な武術において、血を流さずに鎮圧する技術が求められていたことは容易に理解できます。

もう一つの説は、利充が60歳を過ぎた際に秋葉権現の霊夢を受けて、その道を得たというものです。このように、創始者の正木利充は非常に深い思索を巡らせて武術を創出したことが分かります。

流派の後継と道統

正木流の発展は、名和弓雄による大きな変革を経ています。名和弓雄は第10代の宗家であり、彼の生涯における著作『隠し武器総覧』の末尾には、宗家制度の廃止が告げられています。これは2000年のことでした。名和弓雄の死去と共に、宗家が廃絶することが示唆され、流派の継承に関しても新たな方向性を打ち出しました。

その後、彼の死後には、技術に優れ、すべての型に熟知し、人格も備えた成熟した指導者が師範家として選ばれるシステムが確立されました。こうして、名和弓雄が直接指導した者たちの中から後継が選定されることになりました。

現在の正木流

名和弓雄以外にも、正木流は他の系統に影響を与えています。特に水鴎流第9代の福原景利が正木流萬力鎖術を基に新たな武術、正木流鎖鎌術を編み出し、この流派の伝承も現在に続いています。

正木流は、伝統的な武術の精神を受け継ぎながらも、時代に応じた技術や理念を再編成し、現代に生き続けています。正木流の技術は今もなお修練され、広がりを見せています。

結論

正木流は、利充の創始した萬力鎖術を中心に据え、長い歴史を経て新たな実践の形を模索してきました。武術愛好者にとって、その技術と理念は学ぶ価値のあるものとなっています。

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