正清院

正清院 振姫の生涯

正清院、もしくは振姫は、天正8年（1580年）に生まれ、元和3年8月28日（1617年9月27日）にこの世を去った女性です。彼女は徳川家康の三女であり、母は家康の側室である下山殿です。振姫の生涯は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて続き、豊臣秀吉との関わりや、江戸幕府の権力闘争に巻き込まれた波乱万丈のものでした。

若年期と婚約

文禄4年（1595年）2月、振姫は豊臣秀吉の命を受け、蒲生秀行との婚約を結びます。彼女の輿入れは慶長3年（1598年）11月5日に行われましたが、『言経卿記』によれば、祝言は慶長元年（1596年）12月に挙げられたとされています。振姫は結婚後、2男蒲生忠郷、蒲生忠知と1女崇法院（後に加藤忠広の正室）を授かります。

関ヶ原の戦い

振姫の家族は、関ヶ原の戦いでの運命の変転にも関与しました。彼女の縁故により、夫の秀行は東軍に加わることとなり、会津60万石の封を受けることができました。しかし、慶長17年（1612年）、秀行が突然の死を遂げることになります。この死は振姫にとって大きな打撃であり、その後の家政の運営は振姫と家老の岡重政との間で対立を生んでいきます。最終的には家康の命により岡は切腹の命を受け、不安定な藩政が続くことになりました。

再婚とその後

元和元年（1615年）、振姫は家康の指示により和歌山藩主の浅野長晟と再婚します。振姫は子を残した後、蒲生家を去り、元和2年（1616年）4月に浅野家へと輿入れしました。不幸なことに、振姫は浅野光晟を出産した後16日でこの世を去り、38歳という若さで命を落としました。彼女は和歌山の吹上寺で火葬され、その後金戒光明寺に葬られています。さらに、後に広島正清寺に改葬されました。

彼女の影響と子孫

振姫の死を受け、蒲生忠郷は会津の融通寺に寺領を寄付し、母の菩提を弔うように命じました。また、家康の十男である徳川頼宣も振姫の菩提供養のために光恩寺に墓を建立しています。現代においても、浅野家には振姫の子孫が続いていますが、蒲生家は息子二人が短命であったため、無嗣改易となり、娘が嫁いだ加藤家も改易の憂き目にあっています。

振姫の生涯は、時代の激動の中で女性が果たした役割を物語っています。

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