正義 (タロット)

正義（せいぎ、英：Justice）

正義は、タロットの大アルカナに位置するカードの一つであり、一般的には裁判の女神として知られています。このカードは、公平性や正義感、均衡を示す象徴であるため、個人の倫理観や社会的な公正に関する問いを投げかける役割を果たしています。

カード番号とデッキ

正義のカードは、マルセイユ版のような伝統的なタロットデッキでは「8」という番号が付されています。しかし、アーサー・エドワード・ウェイトによるデッキでは、彼が「力」との番号を入れ替えたため、正義は「11」となっています。このため、現在のところ、正義のカードには2つの異なる番号が存在しています。どちらの番号が正しいかについては、タロット研究者の間で今なお議論が続いています。

前後のカード

マルセイユ版において、正義の前のカードは「戦車」（7）、次は「隠者」（9）です。ウェイト版では、前は「運命の輪」（10）、次は「吊された男」（12）があります。これらのカードとの関連性は、正義がどのように他の概念と結びつくかを考える手助けをします。

カードの意味

正義のカードが正位置で現れた場合、公正や公平さ、善行、誠意、慈善といった意味を持ちます。一方、逆位置の場合は不正や偏向、不公平といった負の側面を象徴します。また、アーサー・エドワード・ウェイトによる注釈では、正義は「平等・正しさ・行政・正当な判決」を意味し、日常生活やビジネスにおける倫理的選択に影響を与えることが多いです。

カバラとの関係

正義のカードに関連付けられるヘブライ文字は「ラメド」（ל）ですが、これに関して複数の解釈が存在します。また、「黄金の夜明け団」による考えでは、ゲブラー（強さ）とティファレト（美しさ）という2つのセフィラを結ぶ経に関連するとされています。

占星術との結びつき

占星術において、正義にはいくつかの説があります。金牛宮、巨蟹宮、天秤宮、天蠍宮、人馬宮、磨羯宮などの星座や、また金星に関連付けられることがあります。

寓意画の解釈

正義のカードには、玉座に座った女性が剣と天秤を手にしている姿が描かれています。この構図はマルセイユ版とウェイト版の両方で大きな変更はありませんが、カードの持つ意味や象徴が異なる場面で強調されます。特に、剣は武力ではなく支配の象徴として掲げられ、天秤は偏りなく均衡を保つことを示しています。この天秤の左右の皿の大きさの違いは、必ずしも「公平」が対称性を持つわけではないことを暗示しており、調和や美しさを示唆しています。

目は正面を向いており、社会の価値観や個人の感情による影響を受けないことが重要です。特に、正義は時間や場所によって異なる解釈を持つため、右や左に視線を移すことなく真実を見据える姿勢が求められています。マルセイユ版では正義が「8」とされており、アラビア数字の形状が天秤の皿の垂直な並びを想起させることも考慮されています。

ウェイト版では、女性はギリシャ神話の女神アストライアやその母テミスの姿が反映されていると解釈されています。天秤はアストライアの公正な裁きに由来し、剣は大天使ミカエルによる断罪の象徴とされています。

まとめ

正義のカードは、社会の中で重要な倫理的選択や判断を促す要素を含んでいます。その象徴性は時代や文化によって様々に解釈され続けるため、占星術や神話と結びつけながら新たな視点を提供してくれる存在です。

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