正覚院 (長野市)

正覚院は、長野県長野市安茂里に位置する真言宗智山派の寺院です。慶紫山と号し、月輪寺とも呼ばれています。この寺院は、善光寺の周辺に点在する七つの寺院、いわゆる「善光寺七寺」の一つとして数えられることもあります。

歴史

寺伝によれば、正覚院は天安2年（859年）に慈覚大師円仁によって開かれたと伝えられています。当初は天台宗の寺院として「月林寺」という名前でした。その後、元和元年（1615年）に良秀住職によって中興され、西後町にあった高野山龍光院の末寺である正覚院無量寺と合併しました。この時、智積院の末寺となり、真言宗に改宗し、寺名も月輪寺と改められました。『吾妻鏡』の文治2年（1186年）の条には、延暦寺の荘園末寺としてその存在が記録されています。これらの歴史的背景から、正覚院は長い歴史と変遷を経て現在に至っていることがわかります。

境内

正覚院の境内には、本堂、庫裡、仁王門などの主要な建物があります。また、山麓には観音堂と荒神堂が建立されています。特に観音堂には、平安時代初期に制作された木造観音菩薩立像が安置されており、その美術的価値から長野県宝に指定されています。この観音像は、正覚院の歴史と文化を物語る重要な存在です。また、境内には地元の和算家が奉納した算額も残されており、地域の歴史と文化に深く関わってきたことが伺えます。毎月4月18日には観音会という行事が開催され、地域の人々に親しまれています。

文化財

木造観音菩薩立像：平安時代初期の作とされ、長野県宝に指定されています。
算額：地元和算家が奉納したもので、当時の学術や文化を示す貴重な資料です。

行事

観音会：毎年4月18日に開催される行事です。

参考文献

『信州の文化シリーズ 寺と神社』1981年 信濃毎日新聞社
『探訪 信州の古寺 天台宗・真言宗』1996年 郷土出版社

関連項目

善光寺七名所

正覚院は、歴史と文化が息づく寺院として、現在も多くの人々に親しまれています。訪れる際には、その歴史的背景や文化財に触れ、静寂な空間で心安らぐ時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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