正親司

正親司（おおきみのつかさ）について

正親司とは、日本の古代律令制度における宮内省に属する機関であり、皇族に関する事務を専門に取り扱っていました。その名は「おおきんだちのつかさ」とも称され、皇籍の管理や皇族への給与（季禄・時服）を担う重要な役割を果たしていました。

歴史と起源

正親司の前身は令制以前に存在せず、その構想は唐の律令制における宗正寺を模倣したと考えられています。設立当初から、正親司は他の司と異なり、統廃合されることはありませんでした。これは、当時の政治形態においてこの機関が特別な役割を持っていたことを示唆しています。さらに、正親司の上に別当が位置しており、別当は貴族がその職務を担うことが多く、寮に配置されることが一般的でした。このような構造から、正親司が時代を超えて重要な存在であったことが伺えます。

職掌

正親司の主な業務は、皇族の名簿を管理し、皇族に対して給与を支給することです。これには、季禄や時服といった特典が含まれ、皇族の生活を支える重要な役割を果たしていました。奈良時代には、皇族の名簿管理を担う長官である正の地位には多くの場合、王が任命されていました。その後、平安時代に入ると、白川家（花山源氏）が代々この地位に任命されることになりましたが、白川家に関してはその家号が成立した後、正親正に任じられた例が少なかったという指摘もあります。

構成員と職員

正親司の職員は以下のようになります。

• - 別当: 正親司の総裁であり、設置された時期は不詳ですが、その役割は特に重要です。
• - 正 (正六位上相当、唐名:宗正尹、宗親、宗正卿、内宗外宗): 1名。主に皇族名簿の管理を担当し、奈良時代には地位は王が多く、平安時代以降は白川家の者が任命されたが、その実績には疑問も存在します。
• - 佑 (従七位下相当、唐名:宗正丞): 1名。
• - 史 (唐名:宗正主簿、宗正録事): 時間的に交代しながら管理業務を行います。
• - 大令史 (大初位上相当): 1名。
• - 少令史 (大初位下相当): 1名。
• - 使部: 10名。
• - 直丁: 1名。

特筆すべきは、延暦15年（796年）の8月に2名の史生が加わったことです。これはその時期における正親司の業務の多忙さを反映しています。このように正親司は皇族に関わる重要な事務を一手に引き受けており、その役割は古代日本において非常に重要なものでした。

結論

正親司は、日本古代史の宮内制度において重要な位置を占める機関であり、皇族管理において不可欠な役割を果たしました。その構造や職掌は、古代の政治体系を理解する上でも欠かせない要素です。

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