武士沢友治

武士沢友治：JRA元騎手、10000回以上の騎乗と重賞5勝の軌跡、そして新たな挑戦

武士沢友治氏は、日本中央競馬会（JRA）美浦トレーニングセンターに所属していた元騎手です。戸籍上は旧字体を含む表記ですが、JRAの規定により、競馬中継や新聞、雑誌などでは新字体「武士沢」で表記されています。

中学時代の憧憬から競馬学校へ

中学時代から騎手を志望した武士沢氏でしたが、高校卒業後に競馬学校へ進む道を選びませんでした。まず、青森県立三本木農業高等学校に入学し、馬術部に所属。近隣に牧場がなかったため、馬に慣れる目的で馬術競技が盛んな同校を選んだと語っています。高校を1年で退学後、競馬学校騎手課程を経て、1997年に中野渡清一厩舎所属騎手としてデビューを果たしました。同期には勝浦正樹、村田一誠、板倉真由子、秋山真一郎、武幸四郎、松田大作といった、後に活躍する多くの騎手が含まれています。

20年以上にわたる騎手生活と数々の実績

1997年3月8日、中山競馬場3Rでグリーンジョージに騎乗し初勝利。デビュー当初は障害レースにも騎乗していましたが、重賞初騎乗は同年秋の東京障害特別でした。その後は毎年10勝以上と安定した成績を残し、2002年にはNHKマイルカップでGI初騎乗を経験します。2003年にはJRA通算100勝を達成。

デビュー10年目の2006年、アルゼンチン共和国杯でトウショウナイトに騎乗し、悲願の重賞初勝利を挙げます。トウショウナイトとは長きに渡りコンビを組み、数々の勝利を共にしました。しかし、2008年4月、トウショウナイトは調教中に骨折、予後不良と診断されました。この出来事を転機として、武士沢氏は馬に対する考え方を大きく変えたと語っています。

2008年には、16番人気アルコセニョーラで新潟記念を制し重賞2勝目を達成。このレースは、三連単が100万円を超える大波乱となりました。同年にはベンチャーナインでクラシック三冠レースにも挑んでいます。

2011年には東京競馬場で1日に4勝を挙げる活躍を見せ、2013年には自己最多となる24勝を記録。2016年には福島記念、2017年には小倉大賞典と関屋記念をマルターズアポジーで制し、重賞勝利数を5つに伸ばしました。JRA通算300勝達成時には、同じ日に福永祐一騎手が2000勝を達成したため、新聞記事の小ささに驚いたというエピソードも残っています。

2018年にはJRA通算10000回騎乗を達成。そして2024年3月10日、中山競馬場での最終騎乗をもって引退。長い騎手生活に幕を閉じました。

引退後、新たなステージへ

2024年3月、中山競馬場での引退セレモニーでは、JRA競馬学校教官としての新たなブレザー姿も披露。中山競馬場でデビューし、同じ地で引退できたことに感慨を述べました。長年の経験と知識を活かし、後進育成に尽力していくことでしょう。

武士沢友治氏を彩るエピソード

武士沢氏はガンダム好きとしても知られており、調教ベストにジオン軍のエンブレムを付けるなど、その愛を示しています。騎手仲間と「ガンダ部」を結成していたことも有名です。また、単勝最低人気馬に乗ることが多く、デビュー以来のその回数は1986年以降最多の1500回を超えています。

主な騎乗馬

トウショウナイト（2006年アルゼンチン共和国杯）
アルコセニョーラ（2008年新潟記念）
マルターズアポジー（2016年福島記念、2017年小倉大賞典、関屋記念）
キタサンミカヅキ（2016年京葉ステークス）

武士沢友治氏の輝かしい騎手人生と、教官としての新たな挑戦に、今後の活躍を期待しましょう。

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