松田大作

松田大作：JRAを彩った騎手の物語

1978年生まれの松田大作氏は、1997年、日本中央[[競馬会]]（JRA）の騎手としてデビューしました。栗東トレーニングセンター所属で、同期には武士沢友治氏らがいました。デビュー当初から、技術向上のためイタリアやアメリカへ遠征するなど、積極的な姿勢が目立ちました。特に、親交の深いミルコ・デムーロ氏を頼り、二度イタリアへ渡った経験は、彼の騎手としての成長に大きく貢献したと言えるでしょう。2度目のイタリア滞在中、東日本大震災が発生。彼は現地で募金活動を行い、被災地へ約1300ユーロを寄付しました。

2013年、マカオで行われた国際騎手チャレンジでは3位に入賞し、マカオ・ゲーミングショーカップを制覇。念願の重賞初勝利を海外で飾りました。しかし、国内での重賞勝利はなかなか訪れませんでした。デビューから19年目、2015年ファルコンステークスで14番人気だったタガノアザガルに騎乗し、JRA重賞初制覇。この勝利は、彼自身だけでなく、管理調教師の千田輝彦氏にとっても重賞初制覇となりました。その喜びは、彼の涙に表れました。

その後も数々のレースで活躍を見せましたが、2017年には道路交通法違反で検挙され、6ヶ月の騎乗停止処分を受けました。主戦を務めていたセイウンコウセイは幸英明氏に乗り替わり、高松宮記念を制覇。そのレースをテレビで見た松田氏は号泣したといいます。騎乗停止期間中も、函館スプリントステークスに出走するシュウジの調教に参加するなど、復帰への強い意志を示しました。

長きに渡る騎手生活でしたが、2023年12月17日、騎手免許の取消を申請し、引退を表明しました。引退理由は、加齢による騎乗技術や体重調整の衰え、それに伴う騎乗依頼の減少による精神的な負担が大きくなったためです。JRAでの通算成績は8,924戦500勝（地方競馬91戦11勝）という輝かしい成績を残しました。最後の騎乗は、同年12月10日の中京競馬第10競走でした。

引退後、松田氏は新たな人生の舞台へと足を踏み出しました。京都祇園にてBAR『Dz(ディーズ)』を開業。これまで培ってきた経験と人脈を活かし、新たな場所で活躍しています。

松田大作氏の騎手生活は、成功と挫折、喜びと苦悩が複雑に絡み合ったドラマでした。卓越した騎乗技術を持ちながら、体重管理の苦労や、親しい人の死、そして交通事故による騎乗停止処分など、数々の困難を乗り越えようとした彼の努力は称賛に値します。彼の物語は、多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続け、今後も語り継がれることでしょう。

主なエピソード

ミルコ・デムーロ氏とは長年の親交があり、JRA受験の相談も受けていた。
長身のため、毎週の体重調整に苦労していた。「減量だけは本当に早く止めたい」というコメントを残している。
2013年に2歳の娘を交通事故で亡くしている。
ミルコ・デムーロ氏から「とても上手」と評価される高い騎乗技術を持っていた。

主な騎乗馬

重賞勝ち馬
ドクタースウィート（2013年マカオ・ゲーミングショーカップ）
タガノアザガル（2015年ファルコンステークス）
メイショウスザンナ（2015年クイーンステークス）
スワーヴアラミス（2021年エルムステークス、2022年東海ステークス）

その他主な騎乗馬
タップダンスシチー
ディープスカイ
ローズキングダム
タールタン

彼の引退は、日本の競馬界にとって大きな損失であると同時に、新たな始まりでもあります。BAR『Dz』での活躍を含め、今後の松田氏の活躍にも期待したいところです。

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