武家相撲

武家相撲（ぶけすもう）

武家相撲とは、日本の伝統的な相撲の一形態であり、主に武士階級によって行われていました。その起源は古代日本にさかのぼり、特に国防のための兵士の募集制度が整えられた延暦11年（792年）に遡ります。この制度により、相撲が宮中行事の一環として重視されました。

相撲節会の重要性と変遷

宮中での相撲節会は、選抜された健児が宮中警護の業務に従事するためのもので、年々華やかさを増していきました。しかし、次第にその目的は薄れ、承安4年（1174年）には、相撲節会は廃止されてしまいます。このような中で地方における武士たちは、日常の鍛錬として相撲を取り入れ、自己を鍛える手段として重視していました。

相撲の動作は、鎧を身にまとった状態で行う取っ組み合いにおいて、近接戦闘の訓練に大いに役立ちました。また、陣中での時間をつぶす手段として、あるいは友好を深める方法としても人気があったとされています。たまに、相撲節会に参加する本業の相撲力士たちとも競技を行ったり、神事相撲に参加することもありました。

武士たちの相撲との関わり

鎌倉時代には、武士たちの中でも特に畠山重忠や河津祐泰、俣野景久などが相撲を好み、源頼朝もその趣味を持ち合わせていて、多くの家臣に相撲をさせていたと言われています。鶴岡八幡宮の祭礼では流鏑馬や古式競馬と並んで相撲が行われ、その形式もまた当時の節会を模していました。この時期、相撲は非常に盛んに行われていたことが伺えます。

室町時代に入ると、相撲に関する詳細な記録が乏しくなります。足利政権は美術や文化活動を重視していましたが、地方では相撲はなお活発であり、相撲力士を抱える大名も多く存在しました。天下を統一した織田信長は相撲を好み、彼の記録にも多くの上覧相撲の事例が見られます。その流れを受け継いだ豊臣秀吉もまた、相撲を楽しみ、特に聚楽第では相撲を開催しました。

江戸時代の相撲の変化

その後、徳川家康の時代には平和な時代が訪れ、武士相撲はその重要性を失っていきます。その代わりに民衆向けの勧進相撲が主流となり、江戸の相撲が盛り上がりました。この勧進相撲は、将軍がその上を見ることで名声を得たり、大衆に受け入れられ、やがて日本相撲協会につながる流れとなりました。

武家相撲はその発展とともに、武士や民衆にとっての重要な活動となり、日本の文化の一端を担ったことがわかります。

もう一度検索