河津祐泰

河津祐泰（かわづ すけやす）は、平安時代末期に活躍した伊豆国の豪族であり、武将です。河津三郎とも呼ばれ、工藤氏の流れをくむ伊東祐親の長男として生まれました。彼の人生は、曾我兄弟として知られる曾我祐成・時致兄弟の父として、その名を知られています。

河津祐泰の生涯

父である伊東祐親から河津荘を相続したことで、河津祐泰と名乗るようになりました。しかし、当時の工藤一族は、伊豆国伊東荘を巡る激しい所領争いの渦中にありました。伊東荘は親族である工藤祐経が相続していましたが、これに不満を抱いた伊東祐親は、祐経が上洛している隙に伊東荘を奪い取り、さらに祐経に嫁がせていた娘の万劫御前とも離縁させてしまいます。

工藤祐経は、この仕打ちを深く恨み、郎党に伊東祐親の暗殺を命じました。安元2年（1176年）10月、伊豆の奥野の狩場にいた祐親と祐泰親子を刺客が襲撃し、矢が放たれました。祐親は幸いにも無事でしたが、近くにいた祐泰は矢に当たり、31歳という若さで落命してしまいます（『曽我物語』より）。

祐泰の妻（満功御前。横山時重の娘）は、当時5歳だった十郎（祐成）と3歳だった五郎（時致）の2人の息子を連れて、曾我祐信と再婚しました。

曾我兄弟の仇討ち

建久4年（1193年）5月28日、成長した2人の兄弟は、富士の巻狩りで父の仇である工藤祐経を見事に討ち果たした後、討ち死にしました。この仇討ちは『曽我物語』として語り継がれ、広く世に知られることとなります。

祐泰の遺児

祐泰が討たれた5日後に生まれた末子は、祐泰の弟である祐清の妻（比企尼の三女）に引き取られ、彼女が再婚した平賀義信の養子となりました。その後、出家して律師と号していましたが、曾我兄弟の仇討ちの後、兄に連座して鎌倉へ呼び出され、7月2日に甘縄で自害するという悲劇的な結末を迎えています。

関連事項

河津掛け: 柔道の技の一つ。河津祐泰に由来するとされる。
無垢行騰: 『曽我物語』における河津祐泰を発想の一部とした日本の妖怪。

河津祐泰の生涯は、所領争い、仇討ち、そしてその後の悲劇と、波乱に満ちたものでした。彼の名は、息子たちの仇討ち劇とともに、後世にまで語り継がれています。

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