武市三郎

武市三郎：将棋界の異端児、その波乱万丈な棋士人生

1954年生まれの武市三郎氏は、徳島県出身の将棋棋士です。丸田祐三九段門下で、1981年11月に四段に昇段、プロ入りを果たしました。

プロ入りから順位戦の激闘まで

プロ入り直後から、武市氏は数々のタイトル戦予選で活躍します。十段戦予選では決勝まで進出するなど、その才能の片鱗を見せつけました。しかし、惜しくも十段リーグ入りは叶わず。NHK杯やオールスター勝ち抜き戦にも出場するものの、強豪棋士相手に敗れ去ります。

順位戦では、C級2組に長年在籍。22年間もC級1組昇級を果たせないという異例のキャリアを歩みます。降級点ギリギリの成績を何度も繰り返し、将棋界の不思議と評されるほどでした。その間、何度も降級の危機に瀕しながらも、ギリギリのところで降級を回避し続ける驚異的な粘り強さを見せました。しかし、63期に初めて降級点を喫し、66期にはついにフリークラスへ降級。その後、引退を迎えることになります。

個性的な棋風と多様な活動

武市氏は、独自の戦法「筋違い角戦法」で知られています。▲7六歩から△3四歩、▲2二角成、△同銀に▲4五角と打っていくこの戦法はプロ棋士からはあまり評価されていませんが、武市氏にとっては得意戦法であり、「武市ワールド」とも呼ばれていました。

棋士としての活動以外に、武市氏は多岐にわたる活動で才能を発揮しました。将棋指導、書籍執筆、さらには必至問題の創作にも携わっています。遊々将棋塾では長年講師を務め、著書には将棋の戦術や終盤の考え方、そして彼の得意戦法である筋違い角戦法について解説した書籍も含まれます。また、必至問題の作家としても有名で、雑誌「NHK将棋講座」や「将棋世界」で必至問題のコーナーを担当していました。

人物像

武市氏は、野球を趣味としており、棋士の草野球チーム「キングス」に所属していました。上村五段によると、「キングスのエースで、2023年の勝ち頭だった」とのことです。競輪好きとしても知られており、多趣味な一面も持ち合わせていました。

まとめ

武市三郎氏の棋士人生は、順位戦での執念の戦い、独自の戦法、そして多様な活動を通して、まさに波乱万丈でした。C級2組に長年在籍しながらも、その粘り強さと個性的な棋風で将棋界に足跡を残した、稀有な存在と言えるでしょう。彼の残した業績は、多くの将棋ファンに記憶され続けることでしょう。 彼の経歴、棋風、そして人物像は、将棋界における一つの個性として、これからも語り継がれていくことでしょう。

昇段履歴

1969年：5級
1970年：初段
1981年11月11日：四段
1987年3月19日：五段
1997年5月29日：六段
2014年4月1日：七段
2014年4月30日：引退

主な成績

順位戦：C級2組～フリークラス

著書

つよくなる将棋 これ一冊で驚くほど実力アップ！（1999年1月、成美堂出版）
将棋の力をつける本 基礎を創る終盤の考え方（2000年8月、毎日コミュニケーションズ）
武市流力戦筋違い角の極意（2003年5月、毎日コミュニケーションズ）
必至基本問題集（2010年6月、毎日コミュニケーションズ）

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