必至

将棋における必至：どんな受け方でも詰む状態

将棋の終盤において、「必至」は勝敗を分ける重要な局面です。必至とは、後手番のプレイヤーがどのような手を指しても、次の手番で先手番のプレイヤーが正確に指せば詰みとなる状態を指します。これは、先手番の玉将が完全に包囲され、逃れる術がないことを意味します。

必至と詰めろの違い

必至とよく似た概念に「詰めろ」があります。詰めろとは、正しく受ければ詰みにならないものの、受けなければすぐに詰む状態です。必至は、どんな受け方でも詰むため、詰めろよりもさらに厳しい状況と言えます。英語では、必至はbrinkmate、詰めろはthreatmateと訳されています。

コンピュータ[[将棋]]における必至

コンピュータ[[将棋]]では、必至の局面は事実上勝敗が決したと判断されます。評価関数において、必至は詰みの場合に準ずる扱いをされます。一手ごとの読み切りによって、必至が判断されるケースも多いです。

必至の例

具体的な必至の例をいくつか見てみましょう。

両側からの攻撃: 玉の両側を金で挟み込むと、相手は左右からの攻撃を同時に防ぐことができないため、必至となります。
腹銀: 玉の横に銀を配置し、複数の詰み筋を作ることで必至を仕掛けます。この配置は「腹銀」と呼ばれ、非常に強力な必至の形として知られています。
部分的な必至: 玉の周りが攻められているものの、適切な防御によって必至を解除できる場合があります。これを「部分的な必至」と呼びます。
事実上の必至: 持ち駒や盤上の駒の配置によっては、連続王手をかけつつ必至を解除する手順が存在しない場合があります。このような状況を「事実上の必至」と言います。

必至問題

必至問題は、詰将棋と類似したパズルです。攻め側は王手や詰めろをかけ、最終的に必至の状態を作り出すことが目標です。詰将棋よりも作成が困難なため、問題数は少ないものの、高度な詰将棋の腕前を要します。

必至問題は、手数によって分類されます。例えば、1手必至は1手で必至を完成させる問題、3手必至は3手後に必至を完成させる問題です。1手必至の難易度は、詰将棋の7手詰前後と言われています。

関連用語

必至以外にも、似たような概念がいくつか存在します。

詰めろ: 次に何も受けの手をしなければ詰む状態。必至の一種と言える。
一手すき: 詰めろと同じ意味で使われることが多い。
二手すき、N手すき: N手後に必至または詰めろとなる状態。
Z(ゼット): 相手の持ち駒がいくつあっても詰まない状態。自玉がZの状態であれば、相手玉に必至をかけられた時点で勝ちが確定します。
寄り筋、一手一手: どんな受け方でも王手や詰めろが続き、最終的に必至に至る状態。
受けなし: 終盤で玉についていう場合は必至を指すことが多いが、広義には寄せられて受けきれず最終的に必至に至る状態も含む。

格言

将棋の格言として「長い詰みより短い必至」があります。これは、自玉が安全な場合、相手玉を複雑な手順で詰ませようとするよりも、簡単な手順で受けのない状態に追い込む方が堅実であるという意味です。

その他

必至、詰めろ、二手すきなどに相当する状態は、チェスやシャンチーなど、他のボードゲームにも存在します。シャンチーでは、必至は「絶殺」、詰めろは「催殺」と呼ばれています。

必至は、将棋の奥深さを示す重要な概念の一つです。その理解は、終盤戦での判断力を高め、勝利への道を切り開く上で不可欠です。

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