武田久吉

武田久吉（たけだ ひさよし）

武田久吉は、1883年（明治16年）3月2日に東京府で生まれ、1972年（昭和47年）6月7日に89歳で亡くなった、日本の植物学者、登山家です。

生い立ちと学歴

イギリスの外交官アーネスト・サトウと日本人の武田兼の次男として生まれました。府立一中を卒業後、東京外国語学校で語学を学びました。1910年にイギリスに留学し、キューガーデンで植物学の研究を始め、1916年にはバーミンガム大学での研究で東京帝国大学より理学博士の学位を取得しました。

研究活動と登山

帰国後は、京都大学臨湖実験所講師、北海道大学講師、京都大学講師を歴任しました。高山植物の研究に情熱を注ぎ、日本各地の山を精力的に登山しました。特に尾瀬の保護に尽力したことから、「尾瀬の父」として広く知られています。

山岳会での活動

1905年（明治38年）には、日本山岳会の創立に携わり、後に第6代会長を務めました。また、初代日本山岳協会会長、日本自然保護協会会長も歴任するなど、日本の登山界、自然保護運動に多大な貢献をしました。

受賞歴と晩年

1970年（昭和45年）には、秩父宮記念学術賞を受賞しました。1972年に亡くなり、墓所は日光市の浄光寺にあります。

家族

妻の直（旧姓・末吉）との間に2人の娘がいました。父親のサトウとは、幼少期に離れて暮らしましたが、手紙を通して交流を続けました。特に植物と登山を共通の趣味として、晩年まで親交を深めました。

主な著書

『尾瀬と鬼怒沼』 梓書房、1930年（平凡社ライブラリー、1996年）
『登山と植物』 河出書房、1938年（日本文芸社、1970年）
『高山の植物』 アルス、1941年
『道祖神』 アルス、1942年
『民俗と植物』 山岡書店、1948年（講談社学術文庫、1999年）
『尾瀬』 岩波写真文庫、1951年
『高嶺の花』 山と渓谷社、1956年
『原色日本高山植物図鑑』 保育社、1959年
* 『続原色日本高山植物図鑑』 保育社、1964年


武田久吉は、植物学、登山、自然保護の分野で多大な業績を残しただけでなく、その人間性も多くの人々から敬愛されました。彼の功績は、今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

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