武田国信

武田国信（たけだ くにのぶ）

武田国信は、室町時代後期から戦国時代にかけての武将であり、若狭武田氏の一族として知られています。主に若狭国・丹後国の守護、そして安芸国の分郡守護を務めました。ここでは、若狭武田氏の武田国信と因幡武田氏の武田国信について解説します。

若狭武田氏の武田国信

武田国信は、安芸武田氏の当主である武田信繁の三男として生まれました。嘉吉2年（1442年）の生まれとも言われています。元服当時、国信は三男であり、兄たちが健在であったため、若狭武田氏の分家を継ぐことが想定されていました。そのため、当時の幕府の実力者であった畠山持国から偏諱を受け、その支援を得ようとしたと考えられています。また、仮名の彦太郎は、若狭・安芸武田家の嫡男の通称である彦九郎と関連があると思われます。

家督を継承する前は、治部少輔に任じられ、足利義政の御供衆となっていました。応仁の乱では、次兄である信賢と同様に細川勝元の東軍に属し、土岐成頼らの西軍と戦うなど、奮戦しました。しかし、文明3年（1471年）には、弟である元綱の離反にも遭い、苦戦を強いられました。同年に兄が亡くなると、家督を継ぐと共に大膳大夫に任ぜられました。信賢には嫡子がいましたが幼少であったため、国信が家督を継ぐことになりました。この嫡子は文明11年（1479年）に15歳で亡くなったとされていますが、後の蠣崎信広であるという伝承もあります。ただし、信広については国信の子とする伝承もあり、若狭武田氏出自とする説は後世の仮託である可能性が高いです。

文明6年（1474年）4月には、山名政豊と細川政元の和睦の仲介役を務めました。しかし、この時の和睦の条件の一つとして、武田氏が応仁の乱の最中に一色義直と戦って奪った丹後の所領を返還せよというものがありました。丹後に在陣していた武田氏の被官人はこれに不満で所領返還を拒みましたが、和睦に参加した国信は援軍を丹後に送ることができませんでした。そのため、丹後の武田勢は独力で一色氏と戦わざるを得ず、9月には主将の逸見真正が自害し、武田軍は敗れて壊滅してしまいました。国信は落胆して出家し、宗勲と号したと伝えられています。

文明13年（1481年）に元綱と和解し、文明15年（1483年）には山城守護に任ぜられますが、これを辞退しています。長享元年（1487年）には、9代将軍足利義尚の六角高頼討伐（長享・延徳の乱）に従って出陣しましたが、延徳元年（1489年）に義尚が亡くなると、遺骸に付き添って京都に戻った後、若狭へ帰国し、翌2年（1490年）6月21日に小浜で病死しました。享年54歳。嫡子の信親には文明17年（1485年）に先立たれていたため、もう一人の子である元信が跡を継ぎました。菩提寺は玉華院です。

国信は文化人としても優れており、和歌や連歌の会をたびたび開いたと伝えられています。

因幡武田氏の武田国信

一方、因幡武田氏の武田国信は、戦国時代の武将であり、因幡国の守護である山名氏の家臣でした。若狭武田氏の傍流の一族とされています。

山名誠通の家臣であり、天文14年（1545年）に久松山城（後の鳥取城）を改築しましたが、その堅固さから主君に謀反の疑念を抱かれ、謀殺されたと伝えられています。後に、子である高信は山名氏に対して反旗を翻し、一時的に因幡を制圧することになります。

天文15年（1546年）10月には、伯耆国の南条宗勝を助けて橋津川の戦いで尼子氏と戦った因幡山名氏の重臣として「武田豊前守常信」の名が記録に残っていますが、この人物が国信と同一人物であるかは不明です（同一人物とする説も存在します）。鳥取市在住の中世史研究家である高橋正弘によれば、武田豊前守は鳥取城にあって但馬国の山名祐豊に呼応し、山名誠通の殺害に一役買ったとされています。

このように、武田国信という名は、若狭武田氏と因幡武田氏という異なる系統の武田氏に存在し、それぞれ異なる時代背景と役割を担っていました。

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