武田晋

武田晋の軌跡：俳優、劇作家、演出家としての挑戦

武田晋（たけだ すすむ）は、1966年5月16日、北海道札幌市に生まれました。 彼は俳優、劇作家、演出家、ナレーター、そして演技講師として多岐にわたる才能を発揮しています。アットプロダクションとオフィスティンブルに所属し、精力的に活動を続けています。

若き日の情熱と演劇への目覚め

幼少期、新聞記者の父親の転勤により、武田は多くの小学校を転々とする生活を送りました。東京西新宿近辺に住んでいた頃、黒柳徹子やあのねのねを生で観覧した経験が、芸能界への憧れを抱くきっかけとなりました。大好きな野球に打ち込む一方で、高校時代には野球部で万年補欠を経験。大学では社会人[[野球]]のマネージャーを目指しますが、テレビドラマの若手俳優の姿に触発され、俳優業への挑戦を決意します。

俳優としてのスタートと劇団活動

俳優になるため、養成所をいくつか受け、最初に合格したテアトルアカデミーに入所。上京後、アルバイトをしながらエキストラ出演を重ねました。その後、民話芸術座に参加し、全国の小中学校を巡るツアーで舞台経験を積みます。鶴の恩返しの物語「おつう」で、鶴が機を織る場面を目撃する村人役が、彼の俳優デビューとなりました。

1991年には、北海道深川市で俳優の武内文平に師事し演技を学び、翌年には演出家の稲田博と出会い、劇団イナダ組の旗揚げに参加。当時、札幌では鈴井貴之のOOPARTS、増澤ノゾムのPプロジェクト、斎藤歩の魴鮄舎が人気を博していましたが、劇団イナダ組は武田を看板役者として活動を精力的に展開しました。この時期には、後のTEAM NACSの森崎博之を客演として迎え入れています。

その後、武田は鈴井貴之と知り合い、OOPARTSへの移籍を熱望。入団と同時に、鈴井が社長を務めるCREATIVE OFFICE CUEにも所属し、ローカルタレントとしての活動も始めました。北海道文化放送の深夜番組『禁断どんす』では、タカアンドトシや丸岡いずみといった後の人気タレントたちと共演しました。また、OOPARTSのメンバーであった田中護と『ユニットvirus』を結成し、二人芝居で初めて作・演出を経験しています。

劇団「ジー・ウイルス」の旗揚げと解散

1997年、武田は独立し、自ら劇団『ジー・ウイルス』を立ち上げます。当初は素人集団でしたが、ミュージシャンやモデル、アート作家、造形作家、スタイリスト、メイクアップアーティストなど多彩な人材が集結し、複合的なアートエンターテイメント作品を創作。武田自身もメディア露出を増やし、劇団員9名がローカルテレビでタレントとして活躍しました。劇団は1500人を動員するまでに成長しましたが、TEAM NACSの存在感に隠れ、苦汁をなめる日々を送ります。

作・演出家としての行き詰まりと、俳優として活動したい欲求から、劇団として脂が乗っていた時期に解散を決意しました。

再び劇団イナダ組へ

2008年、武田はかつての仲間である稲田博に誘われ、14年ぶりに劇団イナダ組に復帰します。ここでは岸田國士戯曲賞受賞者の深津篤史と出会い、演出家は出演すべきではないという考えに共感し、一演者として活動することを決意しました。

イナダ組では全国公演やツアーに参加し、2012年頃からは、演出家稲田の方針で公演ごとにキャストを変えるようになります。この時期から、北海道テレビ放送（HTB）のディレクター藤村忠寿が役者として参加するようになり、新宿シアターサンモールでの東京公演を毎年行うようになりました。藤村との共演や、演技へのアプローチの変化、そして50歳を迎えるという節目が、武田の心境に変化をもたらしました。

円山ドジャースと東京への挑戦

芸歴30周年を記念し、武田は札幌への「禊」として、2018年に『円山ドジャース』を結成。この団体は、武田が監督、出演者を選手と見立て、演劇という枠にとらわれないお祭り的な活動をコンセプトにしました。メンバーは、過去に出会った縁のある人々で構成され、10年ぶりの作・演出作品『誰そ彼時』は、企業スポンサーやクラウドファンディングで話題を呼び、1500人を動員する大成功を収めました。

千秋楽では、札幌での活動を終え、東京市場への挑戦を宣言し、同年末に上京。古巣テアトルアカデミーに復帰しました。

武田晋は、その多彩な才能と情熱的な活動で、演劇界に新たな風を吹き込み続けています。彼の今後の活躍から目が離せません。

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