武蔵野緑町団地

武蔵野緑町団地の歴史と再生

武蔵野緑町団地は、かつて東京都武蔵野市緑町に存在した、日本住宅公団（現在の都市再生機構）が造成した大規模な公団住宅です。1957年（昭和32年）に竣工し、約63ヘクタールの広大な敷地に1019戸（建て替え後は1095戸）の住戸が建設されました。この団地は、豊かな緑に囲まれた住環境が特徴で、多くの桜の木をはじめとする様々な植栽が施されていました。

特徴的な住棟と共用施設

住棟は、原宿団地にも見られる逆梁構造を採用したものや、片廊下型のものなど、多様なデザインが取り入れられていました。また、当時としては珍しい丸い形状の集会所があり、団地のシンボル的な存在でした。さらに、公団住宅として初めて1DKの住戸が導入されたことも、この団地の特徴の一つです。1960年には、当時の皇太子・皇太子妃（現在の上皇明仁・上皇后美智子）が視察に訪れるなど、注目を集めた団地でもありました。

建替えと緑の継承

築後30年以上が経過し、住棟の老朽化が進んだため、1993年（平成5年）より「武蔵野緑町パークタウン」への建て替え事業が開始されました。建て替えにあたっては、団地内にあった多くの樹木を保存してほしいという居住者の強い要望があり、可能な限り既存樹木を活かす計画が立てられました。特に、団地のシンボルであったケヤキの木は、そのまま残されることになりました。また、建て替え前の団地の特徴であった中央部の広場も、新たな団地にも引き継がれました。

緑化への取り組み

建て替え前の緑町団地には、10メートルを超える大木から小さな草花まで、約4700本もの既存樹木がありました。この豊かな緑を可能な限り残すため、詳細な調査が行われました。まず、すべての樹木の位置と種類を記録し、移植に適した樹木を選定しました。その上で、新しい建物の配置と照らし合わせ、保存、移植、伐採の3つに分類しました。特に、大木は団地の緑の骨格となるよう、慎重に配置が決定されました。

また、既存の樹木はそれぞれ異なる樹形を持っているため、樹種と樹形を考慮し、最も適した場所に配置されました。単独で鑑賞に堪えうる樹木はシンボルツリーとして、樹形の悪いものは住棟の妻側に、下枝が高いものは他の樹木と組み合わせて配置するなど、きめ細やかな計画が実行されました。その結果、約40％にあたる1837本の既存樹木が保存・移植されました。伐採せざるを得なかった樹木についても、ベンチの座板として再利用したり、チップ化してマルチング材として利用するなど、資源の有効活用が図られました。

基本データ（建て替え前）

竣工: 1957年（昭和32年）
構成: 32棟、全1019戸
所在地: 東京都武蔵野市緑町2
住棟構成:
中層フラット棟: 23棟（北・南・片廊下型、4、5階建て、単身棟）
スターハウス: 9棟
住戸構成:
1K: 190戸
1DK: 130戸
2DK: 683戸
3DK: 16戸

交通

吉祥寺駅（JR中央線、京王井の頭線）より、関東バス「武蔵野住宅」「緑町住宅」バス停下車
三鷹駅（JR中央線）より、関東バス「武蔵野住宅」「緑町住宅」バス停下車
武蔵関駅（西武新宿線）より、関東バス「緑町住宅」バス停下車
西武柳沢駅（西武新宿線）より、関東バス「武蔵野住宅」「緑町住宅」バス停下車

近隣施設

武蔵野中央公園
NTT R&D武蔵野研究開発センター

関連項目

桜堤団地
武蔵野グリーンパーク野球場（武蔵野緑町団地施工前に存在した建造物。中島飛行機武蔵製作所跡地に建設された）

外部リンク

武蔵野緑町パークタウン - 美しい緑とやさしさにつつまれて暮らす。 - 都市再生機構による建て替え後の武蔵野緑町パークタウンの紹介。
武蔵野緑町パークタウンへようこそ - 武蔵野緑町パークタウン自治会
武蔵野緑町パークタウンの目次 - archive.today（2013年4月27日アーカイブ分） - 武蔵野緑町団地についてのことが詳細に書かれている。

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