歩兵第57連隊

歩兵第57連隊：激動の昭和を生き抜いた陸軍部隊

歩兵第57連隊は、大日本帝国陸軍に所属した歩兵連隊です。その歴史は、日露戦争後の1905年（明治38年）8月8日、軍旗拝受に始まります。当初は第15師団に所属していましたが、1908年（明治41年）9月には第1師団へ転属、習志野へと駐屯地を移しました。翌年には、歩兵第2連隊の水戸への転出に伴い、佐倉城址（現在の佐倉城趾公園）へ転営。この地には、弾薬庫跡や訓練施設などの遺構が現在も残されています。

1936年（昭和11年）2月には、二・二六事件の鎮圧のため、東京市へ出動。同年4月30日には満州へ派遣され、チチハルに駐屯しました。その後、1937年（昭和12年）からは、天津、張家口、万里の長城付近での戦闘に参加。7年間に渡り満州孫呉に駐屯し、ソ連軍や匪賊との小競り合いが続きました。

太平洋戦争が激化すると、歩兵第57連隊は新たな戦場へと赴きます。1944年（昭和19年）にはグアムに第3大隊を派遣。7月、アメリカ軍がグアムに上陸を開始すると（グアムの戦い）、マンガン山で激戦が展開されました。しかし、激しい戦闘による損害は大きく、8月11日、第3大隊は玉砕という悲劇を迎えました。

同年11月1日、連隊主力部隊はレイテ島オルモックに上陸。そして11月4日、リモン峠で米陸軍第24師団と激突しました。当初は善戦しましたが、第24師団の損耗が激しくなり、米軍は第32師団、第11空挺師団を増援。日本軍は次第に劣勢に陥ります。この戦闘で、第二大隊長の長嶺秀雄少佐は三度に渡り負傷しました。

12月にはリモン峠からの撤退命令が発令されます。第一師団司令部にたどり着いた頃には、連隊の兵力はわずか90名ほどにまで減少。ほぼ壊滅状態となっており、カンギポットへ転進しました。1945年（昭和20年）1月にはセブ島へ転進し、終戦まで遊撃戦を展開しました。終戦は8月。8月18日には両軍による停戦式が行われ、歩兵第57連隊の歴史に幕が閉じられました。

歩兵第57連隊は、日露戦争後の平和な時代から、満州事変、日中戦争、そして太平洋戦争と、激動の時代に翻弄されながらも、その歴史の各場面で重要な役割を果たした部隊と言えるでしょう。その歴史は、多くの文献や記録に記されており、現代においても研究・考察の対象となっています。これらの記録は、現代社会において平和の尊さ、そして戦争の悲惨さを改めて認識する上で貴重な資料となるでしょう。

参考文献

『日本陸軍連隊総覧 歩兵編（別冊歴史読本）』新人物往来社、1990年
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年
外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年
* 『官報』

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