歯科医師国家試験

歯科医師国家試験について

歯科医師国家試験は、歯科医師として業務を行うために必須の国家資格である歯科医師免許を取得するための試験です。この試験に合格することで、初めて歯科医師として医療行為を行うことが認められます。歯科医師法に基づき、国家試験合格後、歯科医籍への登録と厚生労働大臣からの免許交付を受ける必要があります。免許取得後も、1年以上の臨床研修が義務付けられています。

試験の概要

歯科医師国家試験の合格率は、近年低下傾向にあります。受験者数は約3200人に対し、合格者数は約2000人前後で、合格率は約65%程度です。この合格率の低下には、試験の難易度上昇が大きく影響しています。

歯科医師国家試験を受験するためには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

1. 大学の歯学部卒業: 日本国内の6年制歯学部または歯科大学を卒業していること（卒業見込みを含む）。
2. 歯科医師国家試験予備試験合格: 予備試験に合格し、1年以上の実地修練を経ていること。
3. 外国の歯科医学校卒業または免許取得: 厚生労働大臣が、上記1または2と同等以上の学力・技能を有すると認めた者。
4. 沖縄復帰前の歯科医師免許: 沖縄復帰前に琉球政府の歯科医師法に基づき免許を受けた者で、厚生労働大臣が認定した者。

試験は例年2月上旬に2日間かけて行われ、合格発表は3月下旬です。試験地は、北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県などです。

試験科目と範囲

試験科目は、臨床上必要な歯科医学および口腔衛生に関する知識と技能が問われます。試験範囲は、基礎医学、基礎歯学、臨床歯学、臨床医学、臨床薬学、栄養学、災害医学、法医学、公衆衛生学、労働衛生、外国語診療における英語能力など、歯科医師として必要な幅広い分野を網羅しています。具体的な試験内容としては、以下のような分野が出題されます。

基礎医学系問題（必須問題）
保健医療総論、公衆衛生学
歯科保健医療総論
疾患の予防・管理
歯科疾患の予防・管理
歯内療法学
歯周療法学
保存修復学
全部床義歯学
部分床義歯学
クラウン・ブリッジ学
小児歯科学
歯科矯正学
口腔外科学
歯科放射線学
歯科麻酔学
全身疾患に関する臨床医学、臨床薬学

合格基準

合格基準は、一般問題、臨床実地問題、必修問題のそれぞれの基準点を満たし、かつ禁忌肢問題の選択数が一定数以下である必要があります。具体的な合格基準は、試験実施年によって異なりますが、概ね以下のようになっています。

一般問題：一定以上の点数
臨床実地問題：一定以上の点数
必修問題：一定以上の点数
禁忌肢問題選択数：2問以下
基準点以下の領域数：0領域

試験の難易度と近年の変化

近年、歯科医師国家試験は難化傾向にあります。かつては合格率が90%を超えることもありましたが、現在では60%台にまで低下しています。これは、試験内容の高度化や出題範囲の拡大によるものです。具体的には、以下のような点が挙げられます。

医学英語を問う問題の導入
法医学を問う問題の導入
漢方の知識を問う問題の導入
多肢選択型問題（スーパーX問題）の導入
必修問題数の増加
新しいタイプの問題の導入

これらの変更により、受験生はより幅広い知識と深い理解が求められるようになっています。そのため、試験対策には十分な準備と対策が不可欠です。

歯科医師国家試験に関連する情報

歯科医師国家試験の詳細は、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。また、歯学部や歯科大学、予備校などでも情報提供や対策講座が実施されています。

歯科医師を目指す方は、試験の難易度を十分に理解し、計画的な学習に取り組む必要があります。試験合格後も、臨床研修や日々の研鑽を通して、歯科医師としての知識と技能を磨き続けることが求められます。

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