段正淳

段正淳（だん せいじゅん）は、大理国の第15代国王であり、後大理国としては初代の王として知られています。保定帝の弟であり、高昇泰による王位簒奪という混乱期を経て、大理国を再興しました。このため、段正淳以降の大理国を後大理国と呼ぶことがあります。

1094年、兄である保定帝が高昇泰によって王位を奪われ、国号も大中国と改められたことで、大理国は一時的に滅亡しました。しかし、翌1095年、高昇泰が病没する直前に、子の高泰明に対し、政権を段氏に返還するよう命じたことで、段正淳が王位に就くこととなりました。これにより、段氏の政権が中断後、再び王統が復活しました。

段正淳が即位した後も、高氏一族は政権内で大きな影響力を持ち続け、宰相などの要職には高氏出身者が登用されていました。1096年には天授と改元し、その後も開明、天政、文安といった元号を建てました。1103年には、高泰運を北宋へ遣使として派遣しています。1108年、息子の段正厳に王位を譲り、自身は出家しました。

段正淳は、金庸の武侠小説『天龍八部』にも登場し、主人公である段誉の父（実際にはいとこおじで、実父は段延慶）として描かれています。作中では、大理国の鎮南王・保国大将軍という高位にあり、武術の達人としての一面も持っています。

小説での段正淳は、一陽指を使いこなす武術家であり、同時に詩を愛する風流な人物として描かれています。また、非常に好色であり、各地に多くの愛人を持つという設定です。阮星竹、甘宝宝、秦紅棉、王夫人など、多くの女性と関係を持ち、それぞれに娘をもうけています。彼は、多くの愛人たちに対して、それぞれ真摯に向き合い、彼女たちの為ならば自分の命を投げ出すことも厭わないという情熱家でもあります。しかし、その色好みが原因で、愛人たちの嫉妬を買い、最終的には悲劇的な死を迎えることになります。

段正淳の武術は、大理段氏に伝わる一陽指を主としています。内力にも優れており、点穴の技は達人の域に達していたとされています。彼のキャラクターは、武術の達人でありながら、人間的な弱さも持ち合わせている複雑な人物として、読者に強く印象づけられています。

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