大中国

大中（だいちゅう）

大中（だいちゅう）は、1094年から1096年までの短い期間、現在の中国雲南省を中心に存在した国家です。鄯闡高氏によって建てられましたが、わずか2年で滅亡しました。

背景

11世紀末、大理国では皇帝段廉義が楊義貞によって殺害されるという事件が起こりました。楊義貞は自ら皇帝を名乗り広安皇帝と称しましたが、これに対し、宰相格の高智昇は息子の高昇泰に兵を集めさせ、楊義貞を討伐させました。この功績により高氏は権力を拡大し、段寿輝を新たな皇帝に擁立しました。

高智昇は布燮に封じられ宰相となり、高昇泰は鄯闡侯に封じられ、高氏は国政を掌握するようになりました。その後も高氏は権勢を振るい、段寿輝を退位させ、段正明を即位させ、高氏父子が実権を握る事態となりました。

立国の過程

1094年、高昇泰はついに段正明を廃位し、国号を大中と改め、自ら皇帝に即位しました。元号は上治と定められました。高昇泰は、弟や息子たちを各地に封じ、自らの支配体制を強化しました。

高昇祥：鄯闡府（現在の昆明市）
高泰賢：永昌府（保山市）
高泰運：騰衝府（騰衝市）
高泰慧：鄯巨府（永勝県）

亡国の過程

しかし、高昇泰の治世は長くは続きませんでした。1096年、高昇泰は臨終の際に、雲南諸部が自身の支配に反発していることを懸念し、息子の高泰明に対し、政権を段氏に返還するように遺言しました。高昇泰の死後、高泰明は段正明の弟である段正淳を大理皇帝として擁立し、大理国は復活しました（後大理国）。しかし、高氏はその後も重要な地位を占め続けました。

君主

高昇泰（在位：1094年 - 1096年）

領域

大中の領域は、東は西南夷、東北は宋朝、東南は李朝（ベトナム北部）、南は哀牢、西南は蒲甘（パガン王朝）、北は吐蕃諸部に接していました。首都は羊苴咩城に置かれました。大中は封建制度を採用し、鄯闡・永昌・騰衝・鄯巨の諸府を設け、それぞれに皇族の統領を配置することで、皇室を守る体制を整えました。また、各地の懐柔政策を改め、雲南諸部を設け、大理国以来のものと合わせて三十余の部を統治しました。西北地区には鎮を設け、これを治めました。首府には、府・郡・鎮、さらに賧（甸）といった地方行政区画を設けました。

国内編制

大中は、大理国の行政区画を基本的にそのまま用い、府・郡・鎮、賧といった地方行政区画を設けていました。封建制度を採用し、皇族を各地に配置することで、中央集権的な支配体制を築こうとしました。

周辺諸国

大中は、宋朝、李朝（ベトナム）、蒲甘王朝、吐蕃諸部など、多くの国々と接していました。これらの国々との関係は、政治・経済・文化など、様々な面で影響を与え合っていました。

関連項目

南詔
* ペー族

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