日本大百科全書

『日本大百科全書 ニッポニカ』の概要

『日本大百科全書 ニッポニカ』は、小学館が1984年から1994年にかけて刊行した日本の百科事典です。この事典は、日本と日本人に関連する情報を広範にかつ詳細に記述することを目指しています。準備には10年がかかり、最終的には13万を超える項目と50万以上の索引が収められた全25巻の形式で発表されました。1994年版では、補巻や索引を含む26巻で構成されていますが、現在は絶版となっています。

百科事典の成り立ち

小学館は1922年の創立以来、小学校向けの学習参考書や雑誌に特化していましたが、1962年に初めての百科事典『日本百科大事典』を発刊し、以降も様々な百科事典を手掛けてきました。その中でも『日本大百科全書 ニッポニカ』は特に特徴的な刊行物です。

収録内容

本書には6,000人以上の各分野の専門家によって寄稿された記事が含まれており、社会科学、自然科学、人文科学からライフスタイルに至るまで幅広いテーマが扱われています。特に日本の社会や文化に焦点を当て、多くの地方やその歴史に関する詳細情報を提供しています。

地名に関連する項目も豊富で、3,325の記述があり、日本の地名とその関連情報を学ぶ上で役立つ内容となっています。また、他国の文化や歴史も取り上げていて、特に日本との関連点に注目した解説がなされています。そのため、利用者は国内外の情報を包括的に理解することが可能です。

記事の構成

記事の長さは様々で、短いものは1段落で済むものもあれば、詳細なものは2ページ以上にわたる場合があります。さらに、5万点以上の図版が掲載されており、科学や芸術に関するページではグラフや地図、年表なども含まれています。特に視覚的な情報は読者の理解を助けるために重要な役割を果たしています。

特徴的な項目

この百科事典の特徴の一つは、動詞をテーマにした項目が含まれていることであり、従来の百科事典には見られない試みです。動詞の意味だけではなく、その文化や社会的な意義についても詳しく述べられています。例えば「歩く」の項目では、歩行の方法や理由、医学的観点からの考察などが紹介され、読者に対してより豊かな情報が提供されています。

電子版と普及

1994年を最後に書籍版が出版されなくなった後も、改訂作業は継続され、電子版としても展開されました。1996年にはソニーの電子ブックプレーヤー向けに『日本大百科全書』が発売され、その後も続々と電子版がリリースされました。特に1998年にリリースされた『スーパー・ニッポニカ』は多様なメディアコンテンツを搭載し、革新的な試みとして注目を集めました。

ウェブ展開とその後

2000年にはウェブ上でもコンテンツが展開され、多くの知識を手軽に利用できるようになりました。2008年にはYahoo! JAPANとの提携によって「Yahoo!百科事典」として無料で公開されましたが、収益化は難しく2013年に終了しました。現在は、「コトバンク」などのサイトでもその内容が利用可能です。

まとめ

『日本大百科全書 ニッポニカ』は、日本の文化や社会、歴史に関する膨大な情報を提供し、またその収録形式や記事内容が独自の特徴を持っているため、多くの利用者に支持されてきました。電子版の展開により、今なおその価値は色褪せることなく、多くの人々に知識の宝庫として利用されています。

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