毎日放送千里丘ミリカセンター

毎日放送千里丘ミリカセンター（まいにちほうそうせんりおかミリカセンター）は、かつて大阪府吹田市千里丘北1丁目に所在した毎日放送（MBS）の放送関連施設です。

この施設は、1961年から2007年まで約半世紀にわたりMBSの主要な制作拠点として機能した「毎日放送千里丘放送センター」の後継施設として計画されました。千里丘放送センターの閉鎖後、その隣接地にあったミリカプールの跡地を利用して建設され、2008年2月6日に運用を開始しました。MBSの重要な施設の一つでしたが、本社ビルと同様に、一般の立ち入りは制限され、MBSの社員や関係者のみが利用可能でした。

施設の構造は鉄骨造の2階建てで、延床面積は約4,100平方メートルを有していました。内部には、MBSが長年にわたり蓄積してきた貴重な資料や資産を保管するための大規模な倉庫が設けられていました。ここには、報道や番組制作で使用された写真、様々な種類の書籍・資料、音楽ライブラリーとしてのレコードやCD類、そして過去にMBSで放送された番組の一部録画映像・録音音源、さらには番組セットなどが保管されていました。これらの資料は、MBSの歴史や日本の放送史を物語る貴重なアーカイブの一部を構成していたと考えられます。

倉庫機能の他にも、放送技術を支えるための設備が備えられていました。具体的には、テレビ中継やイベント中継など、屋外での番組制作をサポートする「中継技術センター」が設置されており、中継活動の拠点となる事務所や、中継に必要な機材を保管する倉庫機能を持っていました。また、万が一の事態に備えるための非常用食料備蓄庫も設けられていました。さらに、MBSの番組制作に深く関わる関連会社である株式会社放送映画製作所の中継機材倉庫や、隣接するスポーツ施設の運営会社であるミリカスポーツ振興株式会社の本社事務所もこの施設内に置かれていました。

かつては、MBSラジオの予備送信所（出力1kW）もこの千里丘ミリカセンター内に設置されていましたが、後の時期に大阪市北区茶屋町にあるMBS本社へ移転しました。また、MBSが茶屋町の現本社ビル北側に新たな増築棟（新館、B館）を完成させる2014年春までは、番組制作に不可欠な中継車を保管する車庫も千里丘ミリカセンターに置かれていました。

JNN系列やTBS系列の放送局において、本社演奏所から離れた場所にこれほど大規模な放送関連施設を所有している例は、TBSホールディングス（現在のTBSHD）が神奈川県横浜市に所有する「緑山スタジオ・シティ」や、東京都世田谷区の「東京メディアシティ」内にある「TBS砧スタジオ」など、ごく限られています。また、かつて1975年3月までネット系列を結んでいたテレビ朝日ホールディングス（当時はNET）も、東京都稲城市に「テレビ朝日若葉台メディアセンター」を所有しており、地方局としては異例の規模を持つ施設でした。

しかし、施設の役割を終え、毎日放送が千里丘エリアからの完全撤退を決定したことに伴い、千里丘ミリカセンターは2019年7月16日に閉鎖されました。これに先立つ2019年6月30日には、隣接して営業していたミリカゴルフセンターも閉鎖されており、これによりMBSは長年拠点としてきた千里丘の地から姿を消すことになりました。千里丘ミリカセンター内に保管されていた大量の資料や機材が、閉鎖後にどこへ移転されたのかについては、公式には明確にされていません。

施設の閉鎖後、その広大な跡地の利用計画が注目されました。当初はLIXILビバがホームセンターの出店を計画していると報じられ、その後、同社の経営権がアークランドサカモトへ移行する過程を経て、2021年8月4日に「スーパービバホーム吹田千里丘店」として新たな商業施設が開業し、現在に至っています。このように、毎日放送千里丘ミリカセンターは、MBSの歴史の一頁を閉じ、新たな地域のランドマークへとその姿を変えました。

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