毒婦高橋お伝 (映画)

映画『毒婦高橋お伝』

『毒婦高橋お伝』（どくふ たかはしおでん）は、1958年に公開された日本の白黒映画で、中川信夫が監督を務め、新東宝が製作及び配給を行いました。上映時間は約1時間14分で、印象に残る物語と映像美が評価されています。この作品は、高橋お伝の波乱に満ちた人生を中心に、恋愛や悪事にまみれた人間の悲劇を描いています。

概要

本作は、明治12年に刑死した実在の女性、高橋お伝の物語に基づいています。彼女の生涯を映画化した作品はこれで6作目となり、過去の作品同様、仮名垣魯文の『高橋阿伝夜叉譚』が参考にされています。しかし、本作ではお伝が犯す過激な犯罪や毒婦としての側面が和らげられ、厳しい社会背景の中で愛するもののために悪に手を染める女性としての視点が強調されています。

映画の冒頭シーンでは、お伝が明治時代の街を疾走し、人力車に乗り込む姿が描かれています。このシーンは特に新東宝撮影所内に作られたオープンセットで収録され、当時の映像技術を駆使して、迫力ある映像を演出しています。撮影にはクレーンが使用され、独自の視点からの撮影が工夫されています。

公開当時の広告には、インパクトのあるキャッチコピーが添えられており、作品に対する期待感を引き立てていました。

あらすじ

物語は明治初年を舞台に、士族の古賀陣十郎との縁を切った高橋お伝が、次第に犯罪の道に進んでいく様子を描いています。お伝は女スリや万引きなどを重ね、貴金属商の舶来堂で巧妙にダイヤモンドの指輪を盗みますが、警官の並河和馬に見つかってしまう。しかし、彼女は巧みに逃げ延びます。この事件をきっかけに、舶来堂の主人である大沢伊兵衛は、彼女の才覚を買い取り、裏の稼業に引き込むことになります。

お伝は病気がちの夫、浪之助を助けるために犯罪に手を染めていましたが、浪之助は彼女の行動に猜疑心を抱き、次第にお伝を罵倒します。この家庭内の緊張感の中で、お伝は彼に愛する存在を失い、死に至らしめることになります。さらに、愛を持つ者をすべて失ったお伝は、背中に刺青を施し、復讐心を抱きながら悪に走り続けることになります。彼女は、並河和馬を誘惑し、さらには市三と伊兵衛をも手にかけ、より深く堕ちていくのです。

スタッフ

本作のスタッフは以下の通りです。

• - 監督：中川信夫
• - 制作：大蔵貢
• - 企画：津田勝二
• - 原案：澤賢介
• - 脚本：仲津勝義、中沢信
• - 撮影：河崎喜久三
• - 美術：黒澤治安
• - 照明：折茂重男
• - 録音：沼田春雄
• - 音楽：渡辺宙明
• - 編集：鹿島秀男
• - 助監督：石川義寛

キャスト

主な出演者は次の通りです。

• - 高橋お伝：若杉嘉津子
• - 警官・並河和馬：明智十三郎
• - 高橋浪之助：松本朝夫
• - 大沢伊兵衛：丹波哲郎
• - 古賀陣十郎：中村彰
• - ミツ子：大関啓子
• - 倉田梢：山田美奈子
• - 警邏部長・倉田格之助：舟橋元
• - 市三（長虫）：芝田新
• - おかん婆：宮田文子
• - 刑事・村井：明日香実
• - 張：国方伝

参考文献

この作品に関する詳細は、滝沢一・山根貞男編による『映画監督 中川信夫』や、中川信夫のインタビュー集などが参考にされています。これにより、映画の背景や制作意図が理解しやすくなっています。

関連項目

• - 中川信夫
• - 新東宝
• - 大蔵貢
• - 高橋お伝

外部リンクとして、『毒婦高橋お伝』の情報は各映画データベースでも取り上げられているため、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

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