比呂魅卿の犯罪

郷ひろみ、20枚目のオリジナルアルバム『比呂魅卿の犯罪』：80年代ポップスの金字塔

1983年4月1日、CBS・ソニーより発売された『比呂魅卿の犯罪』は、歌手・郷ひろみの20枚目のオリジナルアルバムです。前作『愛の神話』から約4ヶ月という短いスパンでのリリースとなりました。オリコンチャートでは初登場6位を記録し、3作連続のトップ10入りという快挙を達成しました。

このアルバム最大の注目点は、サウンドプロデューサーに坂本龍一を起用したことでしょう。坂本龍一率いるYMOのメンバー、高橋幸宏と細野晴臣も演奏に参加しています。中でも、アルバムに収録されている「愛の空中ブランコ」では、坂本龍一によるドラム演奏が聴きどころとなっています（ノンクレジット）。

楽曲提供陣も非常に豪華です。RCサクセションの忌野清志郎、中島みゆき、矢野顕子、糸井重里、そして、日本の音楽シーンを長年支えてきた筒美京平といった、多彩な顔ぶれが名を連ねています。郷ひろみ自身による作詞作曲作品も収録されており、彼のアーティストとしての幅の広さを感じさせる内容となっています。

演奏陣も、日本の音楽シーンを代表する実力派ミュージシャンが多数参加しており、アルバム全体のクオリティの高さを支えています。

キーボード：坂本龍一
ベース：細野晴臣、後藤次利、岡沢茂
ドラム：高橋幸宏
ギター：大村憲司、今剛、松原正樹、吉川忠英
パーカッション：浜口茂外也
コーラス：矢野顕子、Buzz、EVE
* ストリングス：Ohno Group

その他、ソロヴァイオリン、サックス、トロンボーン、クラリネットといった楽器も、それぞれの分野で活躍するトップクラスのミュージシャンが担当しています。これらの豪華な布陣によって、『比呂魅卿の犯罪』は、郷ひろみ自身の音楽性と、日本の音楽シーンの成熟度を同時に示す作品となりました。

2005年には、ボーナストラックとして「美貌の都」のシングルバージョンを追加収録したCDが発売されました。この再発盤によって、より多くのリスナーが『比呂魅卿の犯罪』の世界に触れる機会を得ることとなりました。

『比呂魅卿の犯罪』は、1980年代の日本のポップミュージックシーンを代表する作品の一つとして、現在でも高い評価を受けています。坂本龍一という異色のプロデューサーとのコラボレーション、豪華なミュージシャン陣、そして、個性的な楽曲群。これらの要素が複雑に絡み合い、独特の魅力を生み出していると言えるでしょう。郷ひろみのキャリアにおいても重要な位置を占める作品であり、日本の音楽史における重要な一枚として今後も語り継がれていくことでしょう。

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