比屋根吉信

比屋根 吉信

比屋根 吉信（ひやね よしのぶ、1951年9月19日 - 2022年1月4日）は、長年にわたりアマチュア野球界で多大な足跡を残した指導者であり、野球練習器「フルセンス」の開発者としても知られています。兵庫県尼崎市に生まれ、その野球人生は選手、そして指導者として歩まれました。

球歴と指導者への道

西宮市立大社中学校を卒業後、1967年に報徳学園高等学校へ進学。高校卒業後は阪神大学野球連盟に所属する大阪体育大学で腕を磨き、大学時代にはベストナインに2度、最優秀投手に2度選ばれる活躍を見せました。1974年には関西大学野球連合から特別表彰を受けています。大学生の頃には、後に京都大学で野球部長となる寶馨氏が在籍していた兵庫県立西宮北高等学校の野球部を指導しており、この経験が後年の京都大学硬式野球部監督就任につながる縁となりました。

大学卒業後は社会人野球に進み、西濃運輸に入団。第1回社会人野球日本選手権大会にも出場しましたが、1975年にチームを離れました。

監督としての軌跡

社会人野球選手としてのキャリアを終えた後、指導者の道に進みます。1976年からは沖縄県にある興南高等学校野球部の監督に就任。保健体育教諭、広報室長も兼任しました。1986年までの11年間で、興南高校を沖縄県内の強豪校へと育て上げ、県大会では10回の優勝、4回の準優勝という輝かしい成績を残しました。九州大会には7回出場し、優勝1回、準優勝2回。また、国民体育大会にも1回出場しています。特に全国高校野球選手権大会には4回、選抜高等学校野球大会には2回出場し、甲子園常連校としての地位を確立しました。1980年の夏の選手権ではベスト8に進出しています。この間、仲田幸司氏やデニー友利氏（友利結氏）をはじめとする多くの選手をプロ野球界へ送り出しました。これらの功績が称えられ、1987年には沖縄県高校野球連盟より特別表彰を受けています。

その後、1990年から1992年にかけては社会人野球チーム、神戸・阿部企業の監督を務め、ここからもプロ選手を輩出しました。

1997年から2005年までは、熊本県の有明高等学校野球部監督（保健体育教諭兼任）を務め、チームを県大会優勝1回、ベスト4に5回導いています。

そして、2009年11月からは京都大学硬式野球部の監督に就任。2012年11月までの3年間、国立大学の野球部を率いました。この期間には、後に京都大学から史上初のプロ野球選手となる田中英祐投手を指導。田中投手は大学時代を振り返り、「比屋根さんに1年生の時から試合で使ってもらえたことが、成長する上で最も大きかった」と語っています。また、2012年前期には京都大学の非常勤講師（スポーツ実習）として、一般学生への指導も行っていました。

輩出NPB選手（主な所属球団）

興南高校
与座朝勝（横浜大洋ホエールズ）
仲田幸司（阪神タイガース）
友利結（横浜大洋ホエールズ、西武ライオンズなど）
渡真利克則（阪神タイガース）
金城博和（日本ハムファイターズ）
竹下浩二（横浜大洋ホエールズ）
平川敏明（南海ホークス）
仲田秀司（西武ライオンズ）
名幸一明（横浜大洋ホエールズ）
阿部企業
柴田佳主也（近鉄バファローズ）
山本大貴（オリックス・ブルーウェーブ）
京都大学
* 田中英祐（千葉ロッテマリーンズ）

晩年

近年は九州地方を拠点に活動し、投球・送球練習器「フルセンス」をはじめとする野球用品の開発に力を入れていました。しかし、病を患い、療養を続けていました。

2022年1月4日、熊本県内の自宅にて病気療養中に逝去。享年70歳でした。

同年6月11日には、故人のゆかりの地である沖縄県那覇市にて、多くの方々が集まりお別れの会が執り行われました。

比屋根吉信氏は、情熱的な指導を通じて多くの球児を育て、野球界の発展に貢献しました。その功績は、プロの世界に進んだ選手たちの活躍や、彼が開発した野球用品と共に、これからも語り継がれていくでしょう。

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