竹下浩二

竹下 浩二

1963年6月18日、兵庫県尼崎市に生まれた竹下浩二氏は、かつてプロ野球の投手として活躍した人物です。

異色の球歴と甲子園での挑戦

竹下氏の野球との関わりは、一般的なものとは少し異なります。中学校を卒業するまで、彼は公式なチームに所属した経験がほとんどありませんでした。在籍していた中学校の野球部は短期間で活動停止となり、その後、元プロ野球選手が地元尼崎市で設立した少年野球チームで、子どもたちの手伝いをしながら練習に励む日々を送りました。この時期に得たつながりが、彼の運命を大きく変えます。

元プロ選手の指導者を通じて竹下氏の存在を知ったプロ野球のスカウトが、沖縄県の強豪校、興南高校の監督に「面白い中学生がいる」と伝えたのです。この紹介がきっかけとなり、竹下氏は興南高校へ推薦入学を果たしました。

興南高校時代、竹下氏はエースとしてチームを牽引し、甲子園球場に3度出場しました。2年生だった1980年夏の選手権大会では、チームは準々決勝まで駒を進めましたが、この大会で準優勝した早稲田実業高校の荒木大輔投手に完封を許し、涙を呑みました。当時のチームには、1学年上の先輩として渡真利克則選手（三塁手）や金城博和選手（外野手）がいました。翌1981年春の選抜大会では、初戦で同大会準優勝校の印旛高校と対戦し、佐藤文男投手の前に敗退。同年夏の選手権大会でも、1回戦で秋田経済法科大学附属高校のエース、松本豊投手に抑えられ敗れました。

プロ野球での短い現役生活

高校卒業を控えた1981年のプロ野球ドラフト会議で、竹下氏は横浜大洋ホエールズから4位指名を受け、プロの世界への扉を開きました。高校の同期で控え投手だった平川敏明氏も、同時期にドラフト外で南海ホークスに入団しています。

長身の右腕として、将来を嘱望されてプロ入りした竹下氏でしたが、プロの舞台ではその才能を十分に開花させることはできませんでした。球威や変化球に際立った特徴を見出すのが難しく、一軍での登板機会は限定的なものに留まりました。公式戦での登板は、1984年に敗戦処理として記録されたわずか7試合のみでした。そして、1986年限りでユニフォームを脱ぎ、短い現役生活を終えました。

プロでの年度別投手成績は以下の通りです。

1984年: 7試合 0勝0敗0セーブ 投球回7.1 自責点3 防御率3.68

プロ初登板は1984年8月12日、横浜スタジアムで行われた対広島東洋カープ20回戦でした。7回表にチームの4番手として救援登板し、2回を無失点に抑えています。

ユニフォームを脱いだ後の多彩なキャリア

現役引退後、竹下氏は読売ジャイアンツの打撃投手として球界に留まり、15年間にわたりチームを支えました。この打撃投手時代には、1995年に球場スタンドからグラウンドにいた竹下氏に向けてエアガンが発射されるという、特異な事件が発生しましたが、幸いにも竹下氏に怪我はありませんでした。

ジャイアンツを離れた後、竹下氏は一時プロ野球の世界から身を引き、毛皮の卸売業の営業職、探偵、さらにはイタリアンレストランのオーナーなど、野球とは全く異なる多様な職業を経験しました。これらの経験は、彼のその後の人生に大きな影響を与えたことでしょう。

現在、竹下氏は横浜市内で「スポーツラウンジワイワイ」という店舗を経営しています。このラウンジは、元プロ野球選手や高校野球経験者などが集まり、プロ野球をはじめゴルフなど様々なスポーツ観戦を楽しみながらお酒を酌み交わすことができる場となっています。また、最近では特定非営利活動法人「ベイスターズ・ベースボールアカデミー」のコーチも務めており、若手選手の育成にも情熱を注いでいます。

竹下氏がプロ野球界で背負った背番号は以下の通りです。

横浜大洋ホエールズ（選手）：47 （1982年 - 1986年）
読売ジャイアンツ（打撃投手）：90 （1987年 - 1988年）、118 （1989年 - 2001年）

竹下浩二氏の人生は、中学時代からの異色の野球経験、甲子園での輝き、プロでの挑戦、そして引退後の多岐にわたるキャリアと、非常に波瀾に富んでいます。その経験を活かし、現在は新たな形で野球やスポーツに関わり続けています。

関連項目：兵庫県出身の人物一覧、横浜DeNAベイスターズの選手一覧

もう一度検索