毛利就兼

毛利就兼（もうり なりかね／たかかね）は、江戸時代中期に活躍した長州藩の家老であり、吉敷毛利家の8代目当主として知られています。

宝暦7年（1757年）、一門である右田毛利家の毛利広定の次男として生を受けました。幼少より学問に励み、安永2年（1774年）には、養父である毛利就将の隠居に伴い、吉敷毛利家の家督を相続しました。儒学者である片山鳳翩に師事し、その薫陶を受け、政治家としての見識を深めました。

就兼の諱である「就」の字は、彼の叔父（父・広定の実弟）であり、当時の長州藩主であった毛利重就から授けられたものです。後に重就が諱の読み方を変更した際、就兼もこれに倣い、「たかかね」と読みを改めました。

寛政3年（1791年）1月、実兄である毛利就任の後任として、長州藩の当職（国家老・執政）に就任しました。当時の長州藩は財政難に苦しんでおり、就兼は藩財政の改善に尽力しました。具体的には、藩士に対して半知の馳走米（減知）を課すという政策を打ち出しましたが、これは藩主である毛利治親によって止められました。この政策は、藩士の生活を圧迫する可能性があり、藩内の反発を招く恐れがあったためと考えられます。

同年、藩主・毛利治親が死去し、その葬儀と新藩主である毛利斉房の家督相続のために江戸へ下向しました。しかし、その帰途である12月3日に急逝しました。享年35歳という若さでした。家督は、就任の次男である房直が婿養子として迎えられ、相続することとなりました。

毛利就兼は、若くして亡くなったものの、長州藩の家老として藩政に尽力し、特に財政改革に意欲を見せた人物として評価されています。その功績は、藩の歴史に深く刻まれています。

参考文献

山口市史
石川卓美著「防長歴史用語辞典」

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