毛利就隆

毛利就隆：下松・徳山藩の初代藩主、その生涯と功績

毛利就隆（もうり なりたか）は、江戸時代前期の大名であり、周防国（現在の山口県）における下松藩、そして徳山藩の初代藩主です。毛利輝元の次男として生まれ、激動の時代を生き抜きました。彼の生涯は、藩政の確立、近隣諸藩との関係、そして文化的な側面においても特筆すべき点が多くあります。

生涯

幼少期から藩主へ

慶長7年（1602年）、毛利輝元の次男として京都で生まれた就隆は、幼名を百助と名付けられました。幼少期に母を亡くし、その後は兄である毛利秀就の代わりに江戸で証人としての役割を担います。慶長16年（1611年）には徳川家康、徳川秀忠に拝謁し、その存在感を示しました。

元和3年（1617年）、兄・秀就から周防国都濃郡に3万1473石余の内分分知を受け、下松藩が成立。初代藩主となります。就隆は当初与えられた所領が山間部だったため、領地替えを願い出て、より実りの多い海岸部の領地を得ることに成功しました。

萩藩からの独立と長府藩との関係

寛永11年（1634年）、将軍・徳川家光への領知朱印状交付を機に、毛利秀元と共謀して萩藩からの独立を画策しますが、これは秀就によって阻止されました。また、秀元の娘である松菊子と婚姻しますが、夫婦仲は良好とは言えず、離縁騒動にまで発展し、長府藩との関係にも影を落としました。

徳山藩へ

正保2年（1645年）、就隆は下松から野上（後の徳山）への移転を願い出て、慶安3年（1650年）に徳山藩が成立しました。城下町の整備や藩士への屋敷割り当て、藩札の発行など、藩政の基礎を固めます。

延宝5年（1677年）には町方法度を定め、町方支配を確立。延宝7年（1679年）に江戸の藩邸で亡くなりました。享年78歳。

人物と功績

就隆は、幼少期は甘やかされて育ちましたが、藩主となってからは領民を大切にし、殖産興業に力を入れました。特に米・塩・紙の生産に力を注ぎ、「三白政策」として知られています。また、能や馬術にも長けており、文化的な才能も持ち合わせていました。

しかし、一方で萩藩からの協力要請を拒否したことが、後の徳山藩改易につながるなど、萩藩との軋轢も生んでいます。

系譜

毛利就隆は、正室・松菊子との間に子を儲けませんでしたが、継室・禅海院との間には、後の徳山藩2代藩主となる毛利元賢などがいます。また、多くの子女をもうけ、その子孫は様々な家系と繋がっています。

まとめ

毛利就隆は、下松藩、そして徳山藩の初代藩主として、藩政の確立に尽力しました。殖産興業による藩の発展、文化的な才能の発揮など、多岐にわたる功績を残しました。しかし、一方で近隣諸藩との関係においては、様々な問題を抱えていたことも事実です。彼の生涯は、江戸時代初期の大名としての苦悩と、その中でいかに藩を維持・発展させていくかを考えた足跡を示すものと言えるでしょう。

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