毛利親直

毛利親直：長州藩家老、激動の生涯

毛利親直（もうり ちなお）は、江戸時代末期から明治時代にかけて生きた長州藩士であり、藩内でも有力な家柄である吉敷毛利家の14代当主です。その短い生涯は、動乱の時代を象徴するように、様々な出来事に彩られています。

生い立ちと家督相続

嘉永5年（1852年）、毛利親直は、同じく長州藩一門家老である阿川毛利熙徳の弟、毛利広悌（ひろやす）の四男として生まれました。文久3年（1863年）、吉敷毛利家の当主であった毛利元潔（もとよし、元一とも）の養子となり、家督を継ぐことになります。藩主・毛利敬親（たかちか）から一字を賜り、「親直」と名乗りました。

第二次長州征討での活躍

慶応2年（1866年）、幕府による第二次長州征討が始まると、親直は遊撃隊総督という要職に抜擢され、芸州口（現在の広島県北部）で幕府軍と戦い、勝利を収めました。この戦功により、親直は藩内での評価を高めることになります。

イギリス留学

慶応3年（1867年）、親直は藩命を受け、福原芳山、河瀬安四郎らと共に兵学を学ぶためイギリスへ留学します。留学中には土肥又一（どい またいち）という変名を用いていました。

帰国と離籍、そして西南戦争へ

明治3年（1870年）、留学中に養父である元一が隠居したため、親直は留学先で吉敷毛利家の家督を相続します。明治5年（1872年）に帰国しますが、明治7年（1874年）には病を理由に吉敷毛利家を離籍し、上野五郎（うえの ごろう）と改名します。吉敷毛利家の家督は、元一が再び当主となり、その後、重輔を養子に迎えて家を継がせています。

明治10年（1877年）に勃発した西南戦争では、幕僚参謀として政府軍に従軍しますが、同年5月18日、熊本で戦死しました。享年26歳という若さでした。

毛利親直は、長州藩の家老という立場にありながら、激動の時代に翻弄され、短いながらも密度の濃い人生を送りました。彼の生涯は、幕末維新期の社会情勢を反映しており、歴史を研究する上で重要な人物の一人と言えるでしょう。

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