毛越寺

毛越寺（もうつうじ）

毛越寺は、岩手県西磐井郡平泉町に位置する天台宗の寺院です。創建は嘉祥3年（850年）と伝えられ、円仁によって開かれました。本尊は薬師如来立像で、平安時代の作とされています。

歴史

創建当初は中尊寺と並ぶ規模でしたが、度重なる火災や戦火により衰退しました。奥州藤原氏の時代には、基衡や秀衡によって壮大な伽藍が再興され、中尊寺をしのぐほどの規模を誇りました。しかし、奥州藤原氏滅亡後、再び衰退し、江戸時代には水田化されるなど、荒廃が進みました。

明治時代に入り、本堂や庫裏が再建され、大正時代には山門が移築されました。昭和時代には発掘調査が行われ、伽藍の規模や構造が解明されました。これらの調査結果は、『吾妻鏡』などの文献資料とも合致し、毛越寺の歴史的価値を裏付けています。

平成元年（1989年）には、平安様式に則った本堂が再建され、現在に至っています。2011年（平成23年）には、「平泉-仏国土（浄土）を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-」の構成資産の一つとして世界遺産に登録されました。

文化財

毛越寺は、境内全体が国の特別史跡に指定されており、その中には護摩堂跡、文殊堂跡、吉祥堂跡、北野天神社、日吉白山社（現 白山妙理堂）、花館廃寺、王子社跡、八坂神社、観自在王院跡などの区域が含まれています。また、毛越寺庭園は特別名勝に指定されており、平安時代の庭園の様式を今に伝える貴重な遺構として評価されています。

重要無形民俗文化財としては、「毛越寺の延年」が指定されています。これは、寺院で行われる伝統的な芸能で、その歴史的価値と芸術性が高く評価されています。

境内

毛越寺の境内には、平安時代の伽藍配置を偲ばせる遺構が数多く残っています。金堂跡、講堂跡、常行堂跡などの礎石や土壇が残り、当時の壮大な伽藍を想像することができます。特に、浄土庭園は、平安時代の様式を色濃く残しており、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。

拝観案内

• - 拝観時間

- 4月5日〜11月4日：8:30〜17:00
- 11月5日〜4月4日：8:30〜16:30

• - 拝観料：700円

アクセス

• - 東北本線（JR東日本）平泉駅から徒歩9分
• - 岩手県交通・平泉町巡回バス「るんるん」で毛越寺バス停下車
• - 平泉町営毛越寺駐車場：350台駐車可（有料、身体障害者は無料）

毛越寺は、奥州藤原氏の栄華を偲ばせる貴重な文化遺産であり、美しい庭園や歴史的な建造物を通じて、平安時代の文化に触れることができる場所です。平泉を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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