毛馬内の盆踊

毛馬内の盆踊

毛馬内の盆踊は、秋田県鹿角市十和田毛馬内地区で毎年8月21日から23日にかけて行われる、国の重要無形民俗文化財であり、ユネスコ無形文化遺産に登録された盆踊りです。西馬音内の盆踊、一日市の盆踊と並び、秋田県の三大盆踊りの一つとして知られています。

概要

かつては「毛馬内盆踊り」と呼ばれていましたが、1998年12月16日に国の重要無形民俗文化財に指定されたことを機に、「毛馬内の盆踊-北の盆-」という名称が用いられるようになりました。

歴史と伝承

毛馬内の盆踊は、その情緒豊かで優雅な踊りが特徴です。会場となる町内の路上には篝火が焚かれ、その周りに細長い輪を作り、踊り手たちが踊りを繰り広げます。踊りは、呼び太鼓（高屋、大拍子、七拍子の3曲）に始まり、笛の囃子による大の坂踊り、そして唄のみで行われる甚句踊りの順で展開されます。

大の坂踊りの起源については、明暦3年（1657年）に桜庭光秀が毛馬内に移封された頃には既に継承されていたという説や、京都の念仏踊りの流れを汲むという説がありますが、いずれも定かではありません。この地域は、南部藩時代に軍馬である南部馬の産地として知られ、馬の売買が厳しく管理されていました。そのため、馬皮製の地域特有の大太鼓が作られ、独特の張りのある音色を奏でます。

踊り手の衣装もまた、毛馬内の盆踊の特徴を際立たせています。男性は黒紋付きに水色の蹴出し、女性は襦袢に鴇色の蹴出しを身につけます。近年では、江戸褄や訪問着、小紋などの晴れ着を着る人も見られます。顔には豆絞りの手拭いを頬被りするのが習わしで、地域的な特色に富んだ伝統的な装いです。

昭和初期までは唄が伴っていましたが、唄い手が途絶えてしまいました。甚句踊りの起源は、永禄8年（1565年）から永禄11年（1568年）にかけて、安東愛季が鹿角に攻め入った際、南部信直が三戸から出陣し、愛季勢を領外に駆逐したことに遡ります。その際、毛馬内で将卒の労をねぎらったことが、甚句踊りの始まりであると伝えられています。

昭和後期までは、上町、中町、下町、五軒町、萱町の5つの町が順番に5日間盆踊りを行っていました。一説によると、藩政時代には、男性も女性も女性物の着物や晴れ着などを着て踊っていたといわれています。

アクセス

会場へは、秋田県道313号雪沢十和田毛馬内線が通行止めとなるため、注意が必要です。

東北自動車道 十和田ICから国道103号 - 国道282号（または市道・旧国道282号）を経由し、約2km
JR東日本 花輪線 十和田南駅から約2km

外部リンク

毛馬内の盆踊 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
毛馬内盆踊り（けまないぼんおどり） 公式ホームページ

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