民主社会中道・人民党

ポルトガルの民主社会中道・人民党(CDS-PP): 歴史と政策

民主社会中道・人民党（CDS-PP）は、ポルトガルの中道右派政党です。国際民主同盟と欧州人民党に加盟しており、選挙においては「人民党」を名乗り親しまれています。現在、党首はヌーノ・メロ氏が務めています。

カーネーション革命後の誕生と初期の活動

CDS-PPは、1974年のカーネーション革命後のポルトガルの政治的混乱期に誕生しました。1975年1月、ポルトで結党大会を開催し、正式に活動をスタートさせました。

当時、左派政権による主要産業の国有化政策が進められる中、CDS-PPは明確に野党の立場を表明しました。1976年の憲法批准においては、社会主義色が強い憲法案に反対票を投じるなど、保守的な立場を貫き、翌年の選挙では共産党を上回る議席を獲得するなど、存在感を示しました。

民主同盟と政権参加

1970年代後半には、社会民主党や人民君主党などの中道右派政党と「民主同盟」を結成し、政権与党となりました。この民主同盟政権において、CDS-PPは閣僚や国家評議会員を輩出し、党首であるディオゴ・フレイタス・ド・アマラル氏は副首相兼外務大臣に就任するなど、政権の中枢を担いました。しかし、1980年代初頭に政権は崩壊し、民主同盟は終焉を迎えます。

野党時代と党勢の変遷

民主同盟崩壊後、CDS-PPは長らく野党の立場を続けました。党首交代や党内改革を繰り返しましたが、社会民主党に押され、議席数は減少の一途を辿りました。1990年代には党名を現在の「民主社会中道・人民党」に変更するなど、立て直しを図りましたが、党勢回復には至りませんでした。

しかし、2000年代初頭には社会民主党との連立政権に参加。再び閣僚を送り出し、政権運営に参画しました。その後、2005年の選挙では議席を減らす結果に終わり、再び野党に転じました。2009年には党勢を回復し議席数を増やしましたが、その後は再び減少傾向にあり、2022年の総選挙では全議席を失うという結果に終わっています。

中絶問題への対応

CDS-PPは、プロライフ（生命尊重）の立場を明確に示しており、中絶合法化に反対する立場を取っています。過去の中絶合法化に関する国民投票では反対キャンペーンを展開しました。一方で、非合法中絶の問題や中絶を取り巻く問題の解決に向けた代替案も提示しています。

結論

CDS-PPは、ポルトガルの政治史において重要な役割を果たしてきた中道右派政党です。カーネーション革命後の混乱期から、連立政権への参加、そして議席数の減少と、その歴史はポルトガルの政治情勢を反映しています。近年は党勢の低迷が続いていますが、中絶問題など、保守的な立場を貫き続けている点が特徴です。今後のポルトガルの政治情勢において、CDS-PPがどのような役割を果たしていくのか、注目が集まっています。

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