民族共産主義

民族共産主義（みんぞくきょうさんしゅぎ）

民族共産主義とは、共産主義や社会主義の思想から発展した政治理論で、国家共産主義とも称される。その主な特徴は、民族主義と階級闘争という二つの概念を互いに対立するものとしてではなく、同時に解決し得るものとして捉えることにある。多くの国際主義者は、この考え方が世界革命の進展を妨げるものだと考え、民族共産主義には批判的だった。

歴史的背景

民族共産主義という用語は、1917年のロシア革命を主導した政治家ウラジーミル・レーニンによって初めて使われた。彼はボリシェヴィキとして知られる多くの政治派閥の一つを率い、ソビエト連邦政府内部で確立される政治体制において、「民族主義と共産主義・社会主義の統合」という潮流を指導した。この潮流は特にウクライナやロシアにおけるイスラム教徒の運動において顕著に見られた。

例えば、ウクライナ地方では、ロシア帝国に対する対抗意識が強まり、ボリシェヴィキによる統治は新たな帝国の形成に過ぎないとする声も存在した。こうした意見は、ウクライナの政治活動家であるヴァシリ・シャフライの周辺から発せられた。

イスラム系民族共産主義

一方で、イスラム系住民による民族共産主義は、世界革命を否定することはなかったが、その中心をヨーロッパではなく中東の地域に置いて考えることが特徴であった。また、ブルジョワジーとの連携が必要とされるため、階級闘争には一定の妥協が求められるといった立場を取っていた。これにより、彼らの思想は共産主義、民族主義、無政府主義の融合ともいえるものとなった。

このイスラム系の民族共産主義は、最終的にはヨシフ・スターリンが設立した少数民族委員会を通じて、ソビエト連邦共産党の一部に組み入れられた。

ドイツにおける民族共産主義

ワイマール期のドイツでは、ドイツ共産党の一部が民族共産主義を掲げ、ハンブルク支部のリーダーであったフリッツ・ヴォルフハイムやハインリヒ・ラウフェンベルクが中心となって「大ドイツ・レーテ」の案を提起したが、党本部とは対立し、彼らは除名された。その後、彼らはドイツ共産主義労働者党（KAPD）を設立し、ナチスに似た組織名を使用して活動した。

現代の民族共産主義

現在でも、国家主義や民族主義と共産主義や社会主義と反資本主義を融合させて主張する運動が民族共産主義として言及されることがあるが、これらの現象に思想的な連続性は必ずしも存在しない。例えば、ロシアにおける民族ボルシェヴィズムはその一例である。

民族共産主義は、個別の地域や時代において異なる特色を示しつつも、共産主義と民族主義を含む複雑な論理を展開してきた。歴史における民族共産主義の展開からは、国家と階級の関係について考察するための多くの示唆を得ることができる。

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