気になる女の子

気になる女の子

「気になる女の子」（原題：That's The Way A Woman Is）は、アメリカ合衆国のロックバンド、メッセンジャーズによって1971年に発表された楽曲です。この曲は、1962年に結成され、メンバー交代を重ねながら1972年に活動を終えた彼らにとって、キャリアの中で唯一、商業的な成功を収めた作品として知られています。

楽曲は、極めてシンプルなメロディーラインと、わずか1分57秒というコンパクトな構成が特徴です。作詞・作曲は、バンドの中心メンバーであったボーカリスト兼キーボーディストのマイケル・モーガンと、ベーシストのジョン・ホイヤーが手掛けました。

リリースと反響

本国アメリカでは、1971年7月にモータウン・レコード傘下のレーベル、レア・アースからシングル盤としてリリースされました（レコード番号：Rare Earth 5032）。シングルのB面には、メンバー全員の共作による楽曲「In The Jungle」が収められています。アメリカの主要な音楽チャートであるBillboard Hot 100では、最高位62位にランクインするという結果に留まり、特大ヒットとはなりませんでした。

しかしながら、日本においては状況が一変します。日本では同年11月に日本ビクターよりシングルが発売されると（レコード番号：JET-2082）、B面にはボックス・トップスが歌唱してヒットした「あの娘のレター」のカバーが収録されたことも手伝い、予想をはるかに超える人気を獲得しました。オリコンシングルチャートで最高位5位を記録し、累計22万枚以上という驚異的なセールスを達成したのです。この日本での成功を受け、日本ビクターは1972年2月、彼らが1969年にアメリカで発表していた唯一のオリジナルLPにこのヒット曲を追加収録した日本盤LPをリリースしました（レコード番号：SWG-7544）。さらに、日本での熱狂的な支持に応える形で、メッセンジャーズは1972年7月に待望の来日公演を実現させています。

その後の展開

「気になる女の子」は、短命に終わったメッセンジャーズにとって、唯一にして最大の遺産となりました。しかし、単独でのCDリリースは長らく実現しておらず、2018年3月の時点においても、彼らの単独名義でのCDアルバムは過去に一度も発売されていません。ただし、モータウン時代の音源を網羅したコンピレーション盤シリーズ『The Complete Motown Singles vol.11B:1971』には、この楽曲のモノラルおよびステレオ・バージョン、そしてB面曲「ジャングル」の計3曲が収録されており、彼らのオリジナル音源を公式に聴くことができる数少ない機会となっています。

日本における影響

この楽曲は、日本で長きにわたり愛され続けており、様々なメディアで使用されています。特に近年では、複数のテレビCMに起用され、新たな世代にもそのメロディーが届けられています。

2005年: 大塚製薬「アミノバリュー」
2014年: アサヒビール「アクアゼロ」（いわゆる第三のビール）
2021年: スズキ「ハスラー」

また、多くの日本のアーティストによってカバーされています。

南沙織 (1972年)
ザ・チャープス (1972年) - NHKの音楽番組『ステージ101』のレギュラー出演者「ヤング101」としてカバーし、番組のLPアルバム『怪獣のバラード』に収録されました。番組最終回の映像にも、この曲を歌唱するシーンが残されています。
ペドロ&カプリシャス (1972年)
フィンガー5 (1973年)
荒川務 - アルバム『太陽の日曜日』（1974年）に収録（訳詞：増永直子）
朝倉紀幸＆GANG - アルバム『ライオンは起きている』（1982年）に収録（日本語詞：佐藤ありす）
T.V.JESUS - EP『THE BIBLE ep』（1996年）に「気になるジーザス」の曲名で収録
星屑スキャット (2012年)

「気になる女の子」は、メッセンジャーズというバンドの活動期間は短かったものの、特に日本のポピュラー音楽史において、そのシンプルでキャッチーなメロディーが長く記憶され、多くの人々に愛され続ける稀有な楽曲と言えるでしょう。

参考文献:
『The Complete Motown Singles vol.11B:1971 (CD)』Motown ライナー、2008年
* 『1968-1997 オリコン チャート・ブック』株式会社オリコン、1997年

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