気管支肺炎

気管支肺炎：原因、症状、診断、治療を解説

気管支肺炎は、肺炎の一形態であり、肺の小さな組織単位である小葉に炎症が起きる疾患です。大葉性肺炎とは異なり、炎症は細気管支と肺胞に限定されます。小葉性肺炎や巣状肺炎とも呼ばれます。本記事では、気管支肺炎の原因、症状、診断、そして治療について詳しく解説します。

症状

気管支肺炎の症状は、咳、黄緑色の痰、胸痛、そして3日以上続く発熱などが挙げられます。食欲不振や全身倦怠感もみられます。しかし、高齢者や体の弱っている患者では、これらの症状が不明瞭な場合があり、バイタルサインや全身状態の観察が重要になります。初期症状は風邪やインフルエンザと類似しているため、注意が必要です。

病因

気管支肺炎の多くは、風邪やインフルエンザウイルス感染後に発症する市中肺炎です。近年では、医療機関内で感染する院内肺炎も増加傾向にあります。

肺胞や肺胞上皮に感染する菌は多岐に渡り、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、A群溶連菌などの細菌、マイコプラズマ・ニューモニエなどのマイコプラズマ、レジオネラ菌、クラミジア、結核菌、非定型抗酸菌などが挙げられます。これらの細菌や病原体の増殖が肺炎を引き起こします。それぞれの病原体によって症状や重症度が異なってくる可能性があります。

診断

気管支肺炎の診断は、まず聴診器で肺の音を聴取します。異常な音が聴こえる場合は、肺炎の可能性が高いです。胸部X線検査では、肺胞に炎症を示す白い影が映ることが多いですが、初期の段階では正常に見える場合もあるため、注意が必要です。

確定診断には、CTスキャンや気管支鏡検査が用いられることもあります。他の肺疾患との鑑別診断が必要な場合に実施されます。さらに、迅速診断キットを用いて、血清中の抗体や尿中の抗原を検査することで、原因菌を特定することも可能です。これにより、より適切な治療法を選択できます。迅速診断キットは、例えば、肺炎マイコプラズマのIgM抗体、肺炎球菌の莢膜抗原、レジオネラ菌抗原などを検出する酵素免疫測定法(EIA法)などがあります。

治療

気管支肺炎の治療の中心は抗菌薬による治療です。多くの場合、セフェム系抗菌薬を静脈内注射で投与します。経口薬としては、セフェム系、マクロライド系、ニューキノロン系、テトラサイクリン系などが用いられます。

治療効果を高めるために、胸部を叩いて痰を出しやすくするタッピングや、鎮咳去痰薬の併用も有効です。外来治療ではセフェム系抗菌薬の点滴静注とマクロライド系、ニューキノロン系、テトラサイクリン系の内服薬を併用することが一般的ですが、重症例は入院治療が必要となります。

しかし、抗菌薬耐性菌の増加が問題となっており、治療前に原因菌の培養検査を行い、薬剤耐性状況を確認することが重要です。ニューキノロン系抗菌薬は、抗菌スペクトルや臓器への移行性が異なるため、患者の状態に合わせて慎重に選択する必要があります。適切な抗菌薬を選択することで、治療効果を高め、重症化を防ぐことができます。

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