気道確保

気道確保とは

気道確保（きどうかくほ、英: Airway management）は、呼吸のために必要不可欠な気道を安全に保つための処置です。この手法は、気道の物理的な閉塞を未然に防ぎ、もし閉塞が起きた場合には迅速にそれを解除することを目的としています。特に心肺蘇生においては、最初に実施されるべき重要なステップです。

気道閉塞の原因

意識が低下した患者では、筋肉が弛緩し、舌根が後方に落ち込む現象、いわゆる「舌根沈下」が起こります。この場合、上気道が閉塞され、呼吸が困難になります。また、意識がしっかりしている場合でも、声帯の固定、気管内の腫瘍、気管周囲の腫脹、さらには気管支喘息なども気道を閉塞させる要因となり得ます。これらの状況下では、速やかに呼吸路を確保する必要があります。気道閉塞は時間との勝負であり、一刻も早く対処しなければなりません。

気道確保の方法

気道確保には、一般的に以下のいくつかの手法があります。

1. 頭部後屈（Head tilt/Chin lift）

この手法は、後頭部を後ろに傾け、下顎を持ち上げることで気道を確保します。ただし、頚椎損傷が疑われる場合には適用しないことが望ましいです。

2. 下顎挙上（Jaw thrust）

下顎を持ち上げることで舌を前方に移動させ、舌根沈下による気道閉塞を解除します。この方法は最も基本的かつ効果的な気道確保法の一つです。また、患者を側臥位（回復体位）にすると、吐物が口腔に残りにくく、誤嚥を防ぐのに役立ちます。

3. エアウェイ（Oropharyngeal airway: OPA／Nasopharyngeal airway: NPA）

口咽頭エアウェイは、フック状のプラスチック器具を口に挿入し舌根を持ち上げます。経鼻エアウェイは、鼻孔から挿入する細長いシリコン製の器具で、こちらも舌根を持ち上げて気道を確保します。

4. ラリンジアルマスク（Laryngeal mask airway: LMA）

この方法では、ラリンジアルマスクの先端を喉頭蓋に吸着させ、気道を確保します。逆流や誤嚥をある程度防ぐ効果も期待できます。

5. コンビチューブ（Combitube）

食道内に挿入し、食道内と咽頭の2ヶ所でバルーンを膨らませることで食道を閉塞し、気道を確保します。

6. 気管挿管（Intubation）

気管内チューブと呼ばれるプラスチック製のチューブを気管に挿入し、直接的な換気路を確保する専門的な手法です。

7. 気管切開（Tracheotomy）

頚部を切開して直接気管に孔を開けるこの方法は、人体にダメージを与える可能性がありますが、声門より口側に閉塞がある場合や、長期で人工[[呼吸]]が必要となる場合に非常に役立ちます。

関連項目

気道確保と関連する内容として、回復体位は、応急処置で用いられる横向きの姿勢を指します。また、心肺蘇生法も重要な関連項目となります。

これらの手法は、気道確保の基本を形成しており、特に緊急時には、その知識と迅速な対応が求められます。

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